Research Abstract |
表皮細胞に特異的に発現し,皮膚の炎症に必要不可欠なケモカインの一つであるCTACK/CCL27を表皮に高発現したトランスジェニックマウスを作成し検討した。無刺激状態ではこのマウスは野生型マウスと比較し違いは認められなかったが,FTTCによる接触過敏反応を惹起したところ,CCL27トランスジェニックマウスではその反応が亢進していた。このことから,CTACKは表皮細胞において,TH2タイプの接触過敏反応にポジティブに関与していることが示唆された。(Kagami S et al. Eur J Immuno1.2008) 尋常性乾癬患者の病変部および健常部皮膚サンプルについて,免疫組織学的に検討した。尋常性乾癬病変部のすぐ外側の正常部(peri-lesional skin)では,活性化した樹状細胞の増数が認められ,表皮内のCD1a陽性ランゲルハンス細胞,真皮表皮境界部のCD83陽性CD1a陰性Langerin陰性CD11c陽性真皮樹状細胞は,peri-lesional skinにおいても,病変内部と同等の数の細胞浸潤があったが,CD3陽性のTリンパ球は病変部に比べ顕著に少なかった。peri-lesional skinでは,炎症性ケラチンK6,K16陽性ケラチノサイトが認められ,また正常ヒト表皮では通常は顆粒層のみに発現している転写因子のひとつC/EBPβが病変部と同様に表皮全層に発現していた。尋常性乾癬病変部周囲の正常部では,活性化した樹状細胞の浸潤とケラチノサイトに炎症性の変化が認められることから,樹状細胞がケラチノサイトと何らかの相互作用を持つことにより,ケラチノサイトに炎症性の変化がもたらされる可能性があることが考えられた。また逆に,活性化したランゲルハンス細抱が,尋常性乾癬病変の外方への拡大を阻止する働きをしている可能性も考えられた。(Komine Metal. J Invest Dermatol2007) 活性型ビタミンD3(VD3)は,尋常性乾癬の治療薬として日常的に使用されている。マウスランゲルハンス細胞を分離培養し,ランゲルハンス細胞(LC)に対するVD3の作用を検討した。VD3は,LC表面のI-A(d),CD40,CD86,CD80発現を抑制し,結果としてT細胞刺激能を抑制した。またVD3はLCのCCL21に対する走化能や生存を抑制した。一方LCからのIL-1β,CC]L3,4,5産生を亢進した。Th2ケモカインであるCCL17,CCL27産生を抑制する一方で,Th1ケモカインであるCXCL9,10,11の産生を亢進した。(Fujita H, et. al. Cell Immuno1.2007)
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