2006 Fiscal Year Annual Research Report
正常皮膚および腫瘍に対するWnt調節因子REIC/DKK3の作用に関する研究
Project/Area Number |
18591249
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
李 代偉 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 外国人客員研究員 (10423344)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阪口 政清 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (70379840)
片岡 健 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (10293317)
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Keywords | REIC / Dkk-3 / Wnt / がん抑制遺伝子 / 皮膚 |
Research Abstract |
今年度の主な成果は以下のとおりである。 1.REIC/Dkk-3の皮膚における機能を検討するため、療養ヒト正常表皮角化細胞(NHK)にREIC/Dkk-3を発現するアデノウイルスベクター(Ad-REIC)を感染させ、遺伝子発現変化をスクリーニングしたところ、免疫機能の調節に重要な役割を果たすあるサイトカイン(発表準備中のため明記せず)の発現が議導されることが分かった。その誘導機構を解析し、Ad-REICによってIRF-1が誘導され、それが当該サイトカインのプロモーターに結合して転写を抑制しているIRF-2を競合的に排除することによって転写括性化が起こることを明らかにした。以上の結果は、REIC/Dkk-3が皮膚において広義の防護機構に関与する可能性を示唆する。 2.REIC/Dkk-3を強制発現すると腫瘍特異的にアポトーシスが誘導される。この機構を探るため、Ad-REICに高感受性のがん細胞株をスクリーニングし、マウス腎がん細胞株RENCAを同定した。この細胞株と正常線維芽細胞であるNIH3T3を比較することにより、Ad-REICによるアポトーシス誘導にHsp70/72が防護的に働き、それが腫瘍特異的アポトーシス誘導の一因であることを明らかにした。 3.REIC/Dkk-3は、生理的には分泌されて細胞外から作用する。また、REIC/Dkk-3は糖鎖付加を受けるため、産生源としてはほ乳類細胞が望ましい。そこでヒト正常線維芽細胞にAd-REICを感染させ、その培養上清からイオン交換カラムを用いて分泌型REIC/Dkk-3タンパク質を大量かつ高度に精製する条件を確立した。このタンパク質を用いれば、次年度以降、多様な生理作用の解析が可能となろう。 4.REIC/Dkk-3のノックアウトマウスを作成中である。当該遺伝子をノックアウトしたマウスES細胞を既に得て、現在個体を作成中である。
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