2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト乳頭腫ウイルス型特異的細胞変性効果に関する分子病理学的研究
Project/Area Number |
18591254
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
江川 清文 熊本大学, 大学院医学薬学研究部, 助教授 (50183215)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本田 由美 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (00284761)
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Keywords | ウイルス / 癌 / 細胞・組織 / HPV / 幹細胞 |
Research Abstract |
ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)感染症においては感染細胞の増殖や分化の異常が原因HPV型に特異的であることが分かっている。この細胞生物学的に重要な概念は『HPV型特異的細胞変性/病原性効果』と呼ばれ、そのメカニズム解明がHPV研究分野の重要課題となっている。また、感染部位親和性の面から皮膚型と粘膜型に分類されるように、HPVの感染様式もまたHPV型特異的であることが解かっている。このことは、HPVの標的細胞の種類とその解剖学的分布がHPV型ごとに異なることを示している。 今年度の研究においては、前年度に引き続きHPV型特異的感染部位親和性に関する研究を更に押し進め、HPV1感染疣贅(ミルメシア)、HPV6感染疣贅(尖圭コンジローマ)等の切除標本の全体から得られる連続切片を用いた病理組織学的、免疫組織学的および分子生物学的検討により、前年度明らかにしたHPV63が足底のエックリン汗管上皮を感染標的にすることに加え、HPV1が足底のエクリン汗管上皮を、HPV6が陰部の毛包上皮を感染標的にしている可能性を明らかにした。HPV5が眉毛(おそらく毛隆起部に存在する表皮幹細胞)を標的とするとする他研究グループの知見と併せて、HPVが普遍的に皮膚附属器(にある表皮幹細胞)を標的とすることやHPVが型特異的にこれら異なる附属器を感染標的としていること、更に、このことがHPVが皮膚型や粘膜型に分類される理由であるとの仮説を第23回国際パピローマウイルス学会(2006.9.プラハ)および米国Nova Publishersより出版される"Stem cells and Cancer"(2007,in press)中で提唱した。
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Research Products
(11 results)