2007 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト乳頭腫ウイルス型特異的細胞変性効果に関する分子病理学的研究
Project/Area Number |
18591254
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
江川 清文 Kumamoto University, 大学院・医学薬学研究部, 准教授 (50183215)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本田 由美 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (00284761)
|
Keywords | ウイルス / 癌 / 細胞・組織 / HPV / 幹細胞 |
Research Abstract |
ヒトパピローノウイルス(HPV)感染症においては感染細胞の増殖や分化の異常がHPV型特異的であり、そのメカニズム解明がHPV研究分野の重要課題である。HPVは感染部位親和性の面から皮膚型粘膜型にも分類され、理論的に表皮幹細胞と考えられているHPVの感染標的細胞の種類とその解剖学的分布がHPV型ごとに異なることを示している。このことは、身体各部に性状の異なる表皮(粘膜)幹細胞が存在することを意味している。 本年度の研究においては、今までの研究期間中に発見した複数の細胞質内封入体(封入体疣〓)の臨床所見、病理組織学的所見およびウイルスDNAの塩基配列面からの比較検討を行い、これらgenusgamma-とgenus mu-papillomavirusに分類されるようになった封入体疣〓の原因ウイルスのHPV感染症およびHPV研究分野における意義と重要性について明らかにした(Current topics in Virology,in press)。 HPV型特異的感染部位親和性に関しては、HPV1およびHPV63の初期感染が手掌・足底のエクリン汗管を主な感染標的にしていること、HPV6それが主に肛門周囲の毛包を感染標的にしていることを明らかにし、HPV5が眉毛(その毛隆起部に存在する表皮幹細胞)を標的とするとする他研究グループの知見等と併せて、HPVが型特異的に各部の付属器(毛やエクリン汗管)に存在する様々の表皮の真皮幹細胞を標的としている可能性を明らかにした。足底表皮様嚢腫の発症病理として長く外傷による表皮の真皮内迷入説が唱えられてきたが、今年度の研究によりHPV感染のみならずHPV感染以外の様々な因子によりエクリン汗管が類上皮化生を来たした結果の可能性を明らかにした(投稿準備中)。
|
Research Products
(2 results)