2006 Fiscal Year Annual Research Report
統合失調症の脳の形態学的変化と探索眼球運動に関連する疾患感受性遺伝子の解明
Project/Area Number |
18591277
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
角田 雅彦 富山大学, 附属病院, 助手 (30322762)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 道雄 富山大学, 大学院医学薬学研究部, 助教授 (40236013)
住吉 太幹 富山大学, 附属病院, 講師 (80286062)
高橋 務 富山大学, 大学院医学薬学研究部, 助手 (60345577)
倉知 正佳 富山大学, 大学院医学薬学研究部, 教授 (80019603)
恒枝 宏史 富山大学, 大学院医学薬学研究部, 助教授 (20332661)
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Keywords | 統合失調症 / 脳形態 / 探索眼球運動 / 疾患感受性遣伝子 |
Research Abstract |
(1)αニコチン性アセチルコリン(Ach)受容体は、脳機能の調節に重要なニコチン受容体の1つである。そこで、統合失調症患者のα7受容体遺伝子(CHRNA7)の多型解析を行い、見出した変異が受容体の機能に与える影響を検討した。同意を得た日本人統合失調症患者100名および健常者100名のCHRNA7をPCR-SSCP法を用いて解析した。その結果、13種類の遺伝子多型が認められた。これらの遺伝子多型と統合失調症との間に統計学的な関連性は認められなかった。しかし、患者1名にグリシンからセリンへのアミノ酸置換を引き起こす変異(1267G→A)を見出した。置換したセリン残基が新たにリン酸化部位となる可能性が考えられたので、プロテインキナーゼC活性化剤であるphorbol-12-myristate-13-acetate(PMA、10nM)の存在下で、変異型α7受容体(α7-G423S受容体)の機能解析を行った。その結果、PMA処置により、高頻度のAch刺激(1mM、0.1-s pulse、6-s interval)および持続的なコリン刺激(30μM、6min)によるα7-G423S受容体の脱感作が亢進することを見出した。さらに、PMA存在下で、α7-G423S受容体のセリンリン酸化の増加が認められた。これらの変化は、正常型α7受容体では認められなかった。以上の結果から、ヒトα7受容体遺伝子の変異による受容体機能の低下は、一部の統合失調症発症の一因となる可能性が示唆さえた(Tsuneki et al.,2007,in press)。 (2)統合失調症そのものよりも、脳の形態学的変化や探索眼球運動などの中間表現型との関連を検討した方が、統合失調症に関与する遺伝子を見出しやすいとの考えから研究を行っている。COMT(Catechol-O-methyltransferase)のVal158Met変異、BDNF(Brain derived neurotrophic factor)のVal166Met変異、DISC1(Disrupted in schizophrenia1)のSer704Cys変異、DRD3(Dopamine receptor D3)のSer9Gly変異に注目して解析を進めている。統合失調症患者111名の中の68名と健常者58名の中の38名の遺伝子解析が終了しており、測定済みの脳形態との予備的な検討を現在行っているところである。
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