2008 Fiscal Year Annual Research Report
統合失調症の脳の形態学的変化と探索眼球運動に関連する疾患感受性遺伝子の解明
Project/Area Number |
18591277
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
角田 雅彦 University of Toyama, 大学病院, 講師 (30322762)
|
Keywords | 統合失調症 / 脳形態 / 疾患感受性遺伝子 |
Research Abstract |
(1)統合失調症患者では、内側側頭葉構造やadhesio interthalamica (AI)のような中心構造の神経発達障害が報告されているが、それらの遺伝子メカニズムは明らかになっていない。そこで、統合失調症患者33名と健常対照者29名において3-D MRIを撮像し、AIの長さや内側側頭葉構造の体積を計測し、それらとdopamine D3 receptor (DRD3)のSer9Gly多型やbrain-derived neurotrophic factor (BDNF)のVal66Met多型との関連を調べた。その結果、DRD3のSer/Ser型とBDNFのMet alleleを持つ組み合わせ(ハイリスク組み合せ)の患者は、持たない患者よりもAIが長く、その傾向は健常者では認めなかった。また、ハイリスクの組み合せを持つ者は持たない者よりも海馬後部の体積が小さかった。これらの結果から、2つの遺伝子多型の組み合せが、脳の中心構造や内側側頭葉構造に影響を与えているのではないかと考えられた(Takahashi et al, 2008)。 (2)Calcineurin (CaN)は統合失調症の候補遺伝子と考えられているが、死後脳を用いた研究が多く末梢血を用いた研究はほとんどない。そこで、われわれは統合失調症患者16名と健常者16名において全血を採取しRNAを抽出、CaN A gamma遺伝子とCaN B gamma遺伝子を定量RT-PCR法で測定した。そして、それらの発現量とBrief Psychiatric Rating Scale (BPRS)で評価した精神症状との関連を調べた。その結果、CaN A gammma遺伝子の発現量はBPRSスコアと有意な相関があり、CaN A gammma遺伝子は精神病の進行の良い指標になる可能性があると考えられた(Murata et al, 2008)。
|
Research Products
(5 results)