2006 Fiscal Year Annual Research Report
重症うつ病の電気痙攣治療による脳機能画像変化と認知機能に関する検討
Project/Area Number |
18591278
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
小林 薫 山梨大学, 医学部附属病院, 助手 (90256933)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本橋 伸高 山梨大学, 大学院医学工学総合研究部, 教授 (30166342)
加賀美 真人 山梨大学, 大学院医学工学総合研究部, 助手 (60293453)
梅田 貴子 山梨大学, 医学部附属病院, 助手 (80345719)
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Keywords | 電気けいれん療法 / 局所脳血流測定 / ECT / Iomazenil / SPECT / うつ病 |
Research Abstract |
本年度は臨床研究の倫理的承認や研究体制の立ち上げにより、実際に臨床研究を開始する時間が遅れたため、研究計画における重要なポイントである、ECT施行後6から12ヶ月の時点における測定が、年度内には実施できなかった。これに関しては19年度以降に測定が可能な見通しである。 また、研究計画の変更申請を提出した通り、当部局での年間ECT実施実績に減少は無いものの、ECT施行前に研究的な脳機能測定や、認知機能測定を実施できる件数が、予想より少数であることが判明した。そのため患者様の協力で実施する臨床データをより有意義に活用する方法として、臨床の測定に対応した小動物による基礎実験を実施し、基礎実験の結果と臨床データを対比することでより詳細な検討を加えることとした。本年度は、この基礎実験の実施についても小動物を用いたラジオアイソトープ実験の研究計画を策定し、19年度からの実施体制としても大阪大学医学部医用物理学講座との共同研究を実施する運びとなった。 本年度に実施された臨床データの特徴としては (1)ECTが治療アルゴリズムとして必要な段階のうつ病患者では、脳全般領域で著明な局所脳血流低下が見られること (2)血流の低下に比べると、神経受容体(GABA-Bz受容体)の結合活性はそれ程強くなく、神経細胞の数的減少があまり見られないだけでなく、少なくとも抑制性の神経活動はそれほど低下していないこと (3)ECT治療直後は血流低下の改善が見られるものの、まだ正常値より低い傾向があること などが、傾向として観察されている。今後症例の増加に伴い、以上の知見に統計学的検定を加えると共に、脳各部位の変化についても検討を加える予定である。 また、基礎実験においても、脳血流とGABA-Bz受容体活性の変化や電気けいれん刺激がインビボ脳機能マッピングにあたえる基本的な影響についても考察する。
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