2007 Fiscal Year Annual Research Report
初発統合失調症者の25年長期転帰に関わる社会心理学的・生物学的要因の影響
Project/Area Number |
18591294
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中根 秀之 Nagasaki University, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (90274795)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 裕久 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (10380883)
小澤 寛樹 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (50260766)
中根 充文 長崎国際大学, 人間社会学部社会福祉学科, 教授 (80039833)
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Keywords | 統合失調症 / 転帰 / 臨床経過 / 生命予後 / 社会機能 / QOL |
Research Abstract |
われわれは、疫学的・生物学的調査項目の選定を終え、H18.7.12に申請し倫理委員会に研究計画を提出し承認(承認番号:05103132)を得た。さらに調査項目の拡大ということで、生物学的指標を追加する旨について再申請し、承認(承認番号:05103132-2)を得ている。使用した評価項目は、PANSS、SANSS、Mini-ICF-P、KAS、GAF、WH0-QOL26等である。今回の調査にあたって、WHOの提唱するICFに関する評価を行うため、新たにドイツで開発されたMini-ICF-Pの日本語版を作成し導入を試みた。これまでに得られた調査結果について下記に示す。 <追跡症例結果> ・現在までに、17例(男性6例、女性11例。通院患者7名、入院患者10名。)の面接調査を行った。 ・対象者の年齢は42歳〜72歳。平均年齢±標準偏差:52.4歳±10.1(男性:54.5歳±11.3。女性:51.3歳±9.78) ・9例の死亡が確認された。そのうち6例が自殺であった。その他、生存確認例が3例であった。 ・DUPが4ヶ月未満の群が、4ヶ月以上に比べ有意にPANSS得点が低かった。 以上の結果から、 (1)DUPの長短が統合失調症の20数年後という超長期の症候学的転帰に影響を及ぼすことが確認された。今回の研究で、改めて統合失調症への早期介入の重要性が示唆された。 (2)Mini-ICF-Pの信頼性と妥当性に関する検討が必要であるが、今後統合失調症を始めとした精神障害に対する社会適応度評価の新たなアセスメントツールとして、その有用性が示唆された。 (3)自殺者数が6名、5.6%の自殺率であり、先行研究(4.2% Kuaら、2003)と比べて著しく高い値ではない。
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Research Products
(2 results)