2007 Fiscal Year Annual Research Report
認知症に関連した神経細胞障害機構の解明と早期診断及びリハビリテーションの開発
Project/Area Number |
18591303
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
相馬 仁 Sapporo Medical University, 医学部, 准教授 (70226702)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小海 康夫 札幌医科大学, 医学部, 教授 (20178239)
池田 望 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (00274944)
村上 新治 北海道大学, 大学院・保健科学研究科, 教授 (30142756)
齋藤 利和 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50128518)
苗代 康可 札幌医科大学, 医学部, 助教 (80347161)
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Keywords | 血漿分子マーカー / アルツハイマー病 / アネキシンA5 / CS^<2+>-ストレス / プロテオミクス / 神経細胞障害 |
Research Abstract |
認知症の中でトップの割合を占めるアルツハイマー病(AD)の確定診断はなく除外診断が主となり、客観的な診断方法の開発が必要である。早期に認知症を診断し、治療やリハビリテーションの策を講じることが求められている。ADでは、異常な謝産物Aβが神経細胞障害をもたらす主な因子であると考えられる(アミロイド仮説)。侵襲性の高い脳脊髄液を用いて、Aβや微小管のタウ蛋白質の検出が有用と考えられている。本研究では、簡便で低侵襲性の血液診断ための有用なマーカーを探ることを目的とし、プロテオミクスを用いた研究を行った。神経細胞障害モデルとしてマウス神経初代細胞を用いてAβペプチドによる細胞障害を与え細胞外に分泌された物質に注目した。細胞外液に含まれる蛋白質の同定のために、濃縮後SDS-PAGEを行い一定間隔でゲルを切断しゲル内トリプシン消化を行い、質量分析(LC-MS/MS)を行った。その結果、対照群には認められないAβに特有の26種の蛋白質の存在が示された。その中で、Ca^<2+>結合蛋白質アネキシンA5に注目し、アネキシンA5に対するモノクローン抗体を用いたELISAの系を構築し、ヒト血漿アネキシンA5濃度解析を行った。その結果、健常高齢者(36例)に比べ、認知症患者のアネキシンA5濃度は有意に高く、また、AD患者(23例)はレビー小体型認知症患者(11例)より高いことが判明した。アネキシンA5は、Ca^<2+>ホメオスタシスに関する蛋白質であることから、血漿アネキシンA5はADのCa^<2+>ストレスを示す分子マーカーと考えられる。ADは酸化的ストレス、炎症などによる細胞障害が認められる。アネキシンA5のみならずこれら障害に関わる分子マーカーの探索が今後必要であると考えられ、それらを同時に考慮する診断へと発展させることが今後期待される。
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Research Products
(8 results)