2006 Fiscal Year Annual Research Report
統合失調症における認知機能障害改善のための心理社会的治療法の開発と作用機序の解明
Project/Area Number |
18591306
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
岩田 和彦 自治医科大学, 医学部, 講師 (10337305)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊地 千一郎 自治医科大学, 医学部, 助教授 (60323341)
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Keywords | リハビリテーション / 認知科学 / 統合失調症 / 心理社会的治療 |
Research Abstract |
(1)認知機能リハビリテーション技法の検討及び包括的心理社会的治療プログラムの開発 統合失調症の社会的転帰の改善に認知機能障害が大きく関与していることが明らかになってきたことを背景に、近年統合失調症治療に適用されるようになってきた認知機能リハビリテーションプログラムの内容を調査した。その結果(1)注意、記憶、実行機能の3つの認知領域をターゲットにしている、(2)週1回以上の頻度で繰り返しトレーニングを実施する、(3)コンピュータソフトウェアを利用したものが増加している、(4)治療者が段階的な教示や強化などの認知行動技法を適宜取り入れて指導する、等が認知機能のトレーニングプログラムに共通する特徴として抽出された。 これらの知見を基に認知機能リハビリテーション(注意トレーニング・記憶トレーニング・実行機能トレーニング)と社会機能トレーニング(対人関係技能トレーニング・問題解決技能トレーニング)を包含した包括的心理社会的治療プログラムの開発を進めた。 (2)Wisconsin Card Sorting Test(WCST)と問題解決技能訓練の併用による効果の検討 WCSTを用いた実行機能トレーニングと問題解決技能訓練の併用効果を検討する介入研究を実施した。統合失調症を対象として、認知機能トレーニング群とコントロール群に無作為に割り付け、認知機能トレーニング群はWCSTの段階的教示と反復練習を行い、コントロール群では単純計算を行った。その後両群ともに問題解決技能訓練を実施した。 介入前後の社会機能と認知機能の評価から、認知機能トレーニング群では、ロールプレイテストの目的の認知や送信技能、WCSTの達成カテゴリー数とエラー数などが改善した。改善項目数はコントロール群より認知機能トレーニング群のほうが多く、認知機能トレーニングが社会機能の改善を促進する可能性が推測された。
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