2008 Fiscal Year Annual Research Report
パニック障害に対するオーダメイド薬物治療計画立案のためのゲノム薬理学的研究
Project/Area Number |
18591307
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
下田 和孝 Dokkyo Medical University, 医学部, 教授 (30196555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐伯 吉規 獨協医科大学, 医学部, 講師 (20406177)
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Keywords | 遺伝子 / ゲノム / 薬物反応性 |
Research Abstract |
代表的な不安性障害であるパニック障害では選択的セロトニン再取り込み阻害薬が薬物治療として推奨されている。しかしながら、その臨床効果には個体差があり、吐き気などの消化器症状のために、その投与をあきらめざるを得ない場合も少なくない。このような選択的セロトニン再取り込み阻害薬の臨床効果や副作用の個体差を事前に予測し、それによって合理的な薬物治療計画を立案することが求められている。本研究計画ではパニック障害の病態生理への関連が想定され、また、セロトニン再取り込み阻害薬の作用部位と考えられているセロトニン・トランスポーター遺伝子およびセロトニン受容体遺伝子における遺伝子変異を検出し、パニック障害患者各個体の遺伝子型を決定する。次いで、これらの遺伝子型と治療のために選択的セロトニン再取り込み阻害薬であるパロキセチンを投与された各個体の臨床効果や副作用出現との関連を検討することにより、治療反応性や副作用出現の投与前予測をめざし、選択的セロトニン再取り込み阻害薬によるパニック障害のオーダーメイド(個別化)治療の確立を目的とする。平成19年度までのパニック障害38例を対象としたパロキセチンによる治療反応性を調査した研究結果では、投与2週間後の治療初期においてセロトニン・トランスポータープロモーター領域(5-HTTLPR)遺伝子多型と症状改善率との間に有意な相関が認められ、 mRNAの転写活性が高いL型の保有は治療反応性を低下させる因子と考えられた。平成20年度は症例の蓄積により治療開始4週後のデータが蓄積され、解析を行った結果、 S型保有者とL型保有者の治療反応性に有意な差が認められないことが判明した。
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