2006 Fiscal Year Annual Research Report
早期アルツハイマー病(軽度認知障害を含む)の画像診断
Project/Area Number |
18591310
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
羽生 春夫 東京医科大学, 医学部, 助教授 (10228520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻井 博文 東京医科大学, 医学部, 講師 (60235223)
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Keywords | 認知症 |
Research Abstract |
当科「物忘れ」外来において、1年間に軽度認知障害(MCI)や早期アルツハイマー病(AD)患者57例を登録した。対象の内訳は、早期ADが15例、MCIが42例である。これらの患者について、神経心理学的検査とともに、頭部MRIと脳血流SPECT検査を同時に施行した。神経心理学的検査はMMSE、WMS-R、ADAS、FABに加えて、病識を評価するために生活健忘チェクリストを患者と介護者者から同時に得た。また、学習効果の有無を評価するために1週間後に同じ記憶検査(WMS-Rの論理記憶、category fluency等)を行った。 MRI検査は通常の一般的な撮像法に加えて、客観的、統計学的な萎縮の評価のためにvoxel-based morphometryを加えた。さらに、組織の特性評価が期待できるmagnetization transfer法やdiffusion-weighted imagingを加えた。脳血流検査は、IMP-SPECTを用い、健常者の正常データベースと3D-SSPを用いて解析した。ただし、一部の患者で画像データの解析が困難な症例が3例あり、残り54例を解析の対象とした。本研究は、約3年間の追跡調査中にMCIからADへ進展した患者群と進展しなかった患者群との神経心理学的検査、画像データの相違を比較し、ADの早期診断を可能とするような知見を探求することを目的とするが、この1年間ですでに一部のMCI患者がADへの進展が確認されたため、解析を開始しつつある。この1年間の解析の結果では、早期AD群、MCIからADへ進展した群では、進展しなかった群と比べて、海馬の萎縮、側頭頭頂葉の血流低下が明瞭であり、また自己の記憶障害を過小に評価する"病識の低下"や学習効果の低下などが確認されつつある。今後、少なくとも2年間の追跡調査および解析が必要である。
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