2008 Fiscal Year Annual Research Report
早期アルツハイマー病(軽度認知障害を含む)の画像診断
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18591310
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
羽生 春夫 Tokyo Medical University, 医学部, 准教授 (10228520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻井 博文 東京医科大学, 医学部, 講師 (60235223)
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Keywords | 認知症 |
Research Abstract |
初年度に登録された軽度認知障害(MCI)と早期アルツハイマー病(AD)患者を約2年間フォローした。その結果、MCIから進展のみられなかったMCI/MCI群が18例、MCIからADへの進展がみられたMCI/AD群が21例となり、さらに早期AD19例とともに初回各検査成績の相違を比較した。頭部MRIをVSRADから解析し、海馬領域の萎縮(z-score)を求めると、MCI/MCI群に比しAD群で有意なz-scoreの高値がみられ、MCI/AD群でも高値となる傾向がみられた。脳血流SPECTは側頭頭頂葉や後部帯状回の血流低下所見を定性的に評価した結果、MCI/MCI群と比べて、MCI/AD群やAD群で高率に側頭頭頂葉や後部帯状回の血流低下所見を認めた。病識(生活健忘チェックリストによる介護者スコアと患者スコアの差)はMCI/MCI群と比べてAD群で有意にスコア差が大となった。学習効果(1週間後の同じ認知機能検査)は一部の患者で施行されたが、MCI/MCI群で学習効果が認められたのに対して、MCI/AD群では学習効果は認められなかった。なお、ApoE4の頻度は、3群の間で有意な相違は認められなかった。次に、MRI、SPECT、病識の3項目について、ロジスティック回帰からMCI/MCI群とMCI/AD群の識別率を求めた。各1項目だけでは60%代の識別率であったが、2項目にすると65〜70%代となり、3項目すべてを含むと84%という高い識別率が得られた。以上から、MRI、SPECTによる画像検査とともに、病識の評価や学習効果の有無など総合的な臨床情報を含めると、MCIの予後予測やADの早期診断につながり、早期の治療や対応、ケアが可能になることが判明した。
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Research Products
(9 results)