Research Abstract |
1)肥大型心筋症患者に対しポリソムノグラフィーにて睡眠時無呼吸の有無を検討した。・中枢性睡眠時無呼吸症例ではOscillatory Ventilationと中枢型無呼吸の関係を検証したが相関はみられなかった。 2)通常の薬物療法をおこなった患者群,酸素療法を導入した患者群,CPAPを導入した患者群の3群で監視型心臓自律神経運動負荷試験をおこない,負荷中、後心拍数トレンド波形リアルタイム画像曲線,心拍変動解析からみた冠動脈血流予備能,肥大様式,収縮能,拡張能評価について検討した。 ・3ケ月間の治療によりLVEFは65→66%と変化なかったが,拡張能はE/AO.33→0.50,血漿BNPは103→86Pg/mL,NYHAは1.8→1.5に改善した。冠動脈血流予備能,肥大様式に差は認めなかった。 ・負荷中,後の心拍数トレンド波形リアルタイム画像曲線,心拍変動解析による検討ではどの群においても運動開始初期,または,運動終了回復期初期に心拍変動が亢進する症例は左室収縮能が保持されている症例であった。試験中,心拍変動の程度においては3群間で差を認めなかった。3群の中で通常の薬物療法をおこなった群では心拍数,血圧の変化は認めなかった。酸素療法とCPAPを導入した患者群において有意差は認めなかったが,心拍数,収縮期,拡張期血圧は低下する傾向によあり,運動による血圧,心拍数応答は良好であった。治療前の血圧が高値な例ほどCPAP治療による収縮期.拡張期の血圧低下幅が大きい傾向にあった。酸素療法やCPAP療法により自律神経機能が改善されたことが示唆された。 ・3ケ月間の治療により,レニン,アルドステロン,ANP,カテコーラミン,高感度CRP,血中サイトカインは低下しなかったが,CPAP療法群においてBNPは低下傾向を認めた。肥大型心筋症患者においては自律神経障害が睡眠時無呼吸患者の心血管系リスクを増大させる可能性があり,炎症所見の関与は乏しかった。CPAP療法はこれらのリスクを軽減させるのに有用である可能性が示唆された。
|