2009 Fiscal Year Annual Research Report
ストレスによる過覚醒の神経メカニズムの解明:ラットを用いた精神生理学的研究
Project/Area Number |
18591322
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
榛葉 俊一 Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research, 東京都精神医学総合研究所, 副参事研究員 (80175398)
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Keywords | ストレス / フットショック / 事象関連電位 / 脳波 / 大脳皮質 / ラット / 過覚醒 |
Research Abstract |
ラットにおいて覚醒レベルとDC脳電位との関連を検討するとともに、フットショックストレスの負荷がDC脳電位やslow potential、脳内ノルアドレナリン濃度に及ぼす影響を分析した。 1.ラット脳におけるDC電位は、前頭部では小脳に比べ活動時にはマイナスになり、休息時にはプラスなる日内変動および数十分のphasicな変動が見出された。変動はミリボルトレベルに達し、前頭部DC電位のマイナス方向への変化は筋活動の増加と脳波デルタ波の減少を伴った。覚醒レベルと脳のDC電位とは密接に関連することが示された。 2.フットショックストレスの予期に伴いDC脳電位の変動を伴うCNV様のslow potentialが前頭部に出現することを確認した。ストレスに関連した過覚醒状態が前頭部のDC電位発現と関連すると考えられる。DC脳電位の測定が臨床の場での過覚醒状態評価に利用できる可能性が示唆された。 3.急性のストレス後、脳内ノルアドレナリン濃度を直後と4時間後、1日後、7日後に測定に測定した。ストレス直後には視床下部では減少するが、1日後からは上昇し、皮質、海馬、視床下部でストレス負荷後7日目まで上昇が持続することが認められた。ストレス後の過覚醒の神経メカニズムに脳内ノルアドレナリンの過剰生産が関連することが示唆された。 ストレス負荷後には、slow potentialに反映されるDC脳電位の変化や脳内ノルアドレナリンの過剰生産が引き起こされ、過覚醒の出現に関与することが考えられた。
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