2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18591330
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
阿部 修 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 准教授 (50302716)
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Keywords | 脳・神経 / 生理的加齢 / 拡散テンソル / 画像統計解析 |
Research Abstract |
本研究では平成18-19年度において全脳および特定の局所脳容積・拡散テンソル指標の加齢性変化、脳容積変化と拡散テンソル指標の加齢変化の違い、脳容積変化と拡散テンソル指標の加齢変化の男女の違いを明らかにしてきた。脳内局所による違いはあるものの、加齢に伴い脳は萎縮し、MDは上昇、FAが低下することは確実である。ただしここまでの研究では男女別の群間比較や、多数の被験者における年齢に対する相関解析であり、個々の症例についてその脳容積・拡散テンソル指標が生理的加齢変化の範囲内なのか、生理的加齢変化を逸脱し、病的な萎縮・拡散テンソル変化なのかという情報を付与しにくい。そこで平成20年度においては脳容積・拡散テンソル指標を男女別・左右別に階層化し、脳実質を前頭葉、頭頂葉、側頭葉、後頭葉、深部基底核と深部白質、辺縁系、中脳、橋、延髄、小脳前葉、小脳後葉について分割し、正常データベースを構築した。その結果、加齢に従い脳容積は減少し、MDは上昇、FAは低下することが観測され、voxel-base法と正常データベースの結果は良く一致していた。 これまで客観性を欠いていた脳容積・機能指標を定量化することによって、臨床的にも経時的変化の比較しやすいデータを提供可能になる可能性が示唆された。MD・FA画像の画像コントラストは低く、視覚的な病変検出が一般的に困難な場合が多い。また多発性硬化症などの病態ではTl・T2強調などのMRI画像で視覚的には正常に見える部分でも、MD・FA値には異常が生じていることが報告されているものの、画像コントラストが低いことから視覚的・定性的評価にはなじまない。MRI画像に含まれる豊富な情報を画像統計解析の手法を駆使して抽出することにより、生理的変化や各種病態における脳形態・脳機能に関する知見が集積され、-人一人の症例の診断に還元されることが期待できる。
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