2007 Fiscal Year Annual Research Report
線維芽細胞増殖因子溶出型ハイドロゲル化ステントグラフト開発に関する実験的研究
Project/Area Number |
18591333
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
眞田 順一郎 Kanazawa University, 医学部附属病院, 助教 (10313652)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 修 金沢大学, 医学系研究科, 教授 (10019961)
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Keywords | 大動脈瘤 / ステントグラフト / 線維芽細胞増殖因子 / ハイドロゲル / 再生医療 |
Research Abstract |
本研究は動脈硬化などで障害された血管壁,主として動脈瘤や動脈破綻を血管内から積極的に治療することを目的とするステントグラフト治療において,その治療効果を高め,より能動的な血管修復が可能なデバイスを開発することを最終的な目標として計画されたものである。つまり大動脈瘤に対するステシトグラフト内挿術において,人工血管膜と大動脈壁は生物学的に固着しないことが知られており,これら大動脈壁と人工血管膜との間の生物学的固着を促進させることを当初の目的とし,線維芽細胞増殖因子溶出型のステシトグラフトを開発,生体内で生じる組織変化を評価検討してきた。前年度に,薬剤キャリアとしてハイドロゲルを用いたハイドロゲルコーティンググラフトを作成し,それに線維芽細胞増殖因子を塗布したステントグラフトを作成し,生体ブタの腹部大動脈への留置実験を行った。30日後の血管造影,血管内超音波及び組織標本(HE染色,EVG染色,α平滑筋アクチンによる免疫染色)にて宿主血管壁との間に生じる組織変化を比較し,グラフトの織り込まれた繊維内にα平滑筋アクチン陽性細胞を多数認めることがわかった。今年度は,これらの結果を解析し,考察を加えた後に学会報告ならびに医学術誌上で発表した。結論としては,線維芽細胞増殖因子の徐放により新生内膜形成及びグラフト繊維内へのα平滑筋アクチン陽性細胞の侵入が促進されることが示唆され,宿主動脈壁と人工血管膜との間に強固な固着が生じることが期待できると思われた。現在は,ステントグラフト自体の大動脈壁に対する適合性を高める研究を進めており,今後適合性に優れたステントグラフトに本研究の結果を応用し,より積極的な大動脈ステントグラフト治療の臨床応用を現実化したいと考えている。
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