2007 Fiscal Year Annual Research Report
フルオロチミジンを用いた悪性腫瘍に対する放射線・化学療法後のPET診断
Project/Area Number |
18591342
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中本 裕士 Kyoto University, 医学研究科, 助教 (20360844)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐賀 恒夫 独立行政法人放射線医学研究所, 分子イメージング研究センター, 研究員 (40273445)
東 達也 滋賀県立成人病センター研究所, 研究員 (50324629)
溝脇 尚志 京都大学, 医学研究科, 講師 (90314210)
富樫 かおり 京都大学, 医学研究科, 教授 (90135484)
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Keywords | PET / FDG / 腫瘍核医学 / 画像診断学 / FLT |
Research Abstract |
悪性腫瘍に対する術前の化学療法あるいは放射線化学療法の効果判定目的として、糖代謝の亢進を画像化する18F-FDG(フルオロデオキシグルコース)および核酸代謝の亢進を画像化する18F-FLT(フルオロチミジン)を用いたPET検査を行い、いずれの所見が治療効果を正確に反映しているかを評価した。対象は全12例、内訳は肺癌3例、食道癌2例、膵癌3例、中咽頭癌1例、下咽頭癌1例、子宮頸癌1例、Ewing肉腫1例であり、いずれかの画像で疑われた計33病変について、病理組織学的あるいは臨床経過に基づいて正誤を判定した。最終診断により悪性病変の残存27病変、悪性が証明されなかった6病変が確定したが、FDG-PETでは27病変中14病変、6病変中2病変をそれぞれ真陽性、真陰性と判断できたのに対し、FLT-PETではそれぞれ真陽性11病変、真陰性4病変であり、FDG-PETの感度、特異度、陽性適中率、陰性適中率、正診率は52%,33%,78%,13%,48%、FLT-PETは41%,67%,85%,20%,45%であった。所見の不一致は9病変(27%)に見られ、これらの病変に対してはFDG5例(真陽性4例)、FLT4例(真陰性3例)が正診できた。これらの結果に基づき、(1)FDGは偽陽性を呈する一方で、FLTは偽陰性となりやすい、(2)相対的に感度が高いFDGでさえ感度は52%と決して高くはない、(3)所見の乖離が見られた場合にはそれぞれが約半数に対して正診しており、どちらを優先すべきというものではない、(4)FLTは陽性適中率が85%と高く、FLTが陽性なら残存病変の可能性が高い、といえる。結論として治療効果判定においては、FLTの陽性所見は信頼に足るがFDGと大差はなく、陰性所見であった場合には偽陰性の可能性に留意すべきと考えられた。
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