2006 Fiscal Year Annual Research Report
放射線抵抗性休止期低酸素癌細胞のDNA修復遺伝子選択的発現抑制法の開発と臨床応用
Project/Area Number |
18591377
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
川田 哲也 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (60234077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊東 久夫 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (20095574)
宇野 隆 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教授 (30302540)
磯部 公一 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (80334184)
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Keywords | 低酸素細胞 / 放射線感受性 / DAN修復 / 静止期細胞 |
Research Abstract |
癌組織には放射線に抵抗性を示す低酸素細胞領域が存在し、X線やガンマ線などの低LETの放射線治療による根治を妨げる要因の一つとなっている。本研究の目的は、1)低酸素環境下における休止期低酸素癌細胞のDNA損傷修復の効率および正確さを明確にする、2)低酸素細胞の放射線感受性を化学薬剤や修復遺伝子発現を抑制することにより高める新たな治療方法の開発、を目的とする。本年度は低酸素下および正常酸素下での修復による放射線感受性を決定した。生体内では低酸素下は低栄養状態でもあり、大部分の細胞は休止期であるG0期と考えられるため、0.1%の血清しか含まない低栄養培養液に交換し培養を続けることによりG0期の正常線維芽細胞および癌細胞集団を得た。これらの癌細胞にX線照射または重粒子線照射を行い(1-8Gy)、ただちにトリプシン処理により生存率決定する実験と、4-24時間37℃で低酸素下または正常酸素濃度下で培養し修復させたのちに生存率を決定する実験を行った。前者の系では、低酸素下における初期損傷の影響を感受性として観察でき、後者の系では低酸素下および正常酸素濃度下における修復結果が観察できる。結果は前者の系では低酸素条件下の照射で2-3倍の抵抗性を認めたが、後者の系では生存率に大きな変化は見られなかった。この結果は低酸素下における損傷の固定はすぐに継代された場合におこり、静止期では損傷は固定されず効率よく修復されることを示唆する。さらにNHEJで働く修復遺伝子(Ku80)抑制によるDNA修復能の解析を試みた。定常的にKu80が抑制された細胞の樹立を試みたが、本年度は、一時的にKu80が抑制されたのみで生存率にも大きな変化は見られなかった。FISH法による解析でもKu80抑制による感受性の増加は明らかにできなかった。来年度にはKu80抑制の改善を試みることにより感受性増感法の開発につなげたい。
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