Research Abstract |
我々は,前年度,レーザーポインタを使用した呼吸補助システムにより,呼吸時の胸腹壁の位置を被験者自身にフィードバックすることにより,息止めの位置精度を高めることを明らかとした(Nakamura, et. al.IJROBP68,2007)。 その研究結果を応用し,実際に工業用に使用されている高精度画像処理システム(マシンビジョンシステム)の位置認識機能を利用して,CCDカメラにより呼吸移動に伴う胸腹壁の変位を正確にとらえ,その情報をヘッドマウントディスプレイ(HMD)にてフィードバックするシステムを開発した。5名のボランティアでの実験により,このシステムはbreathreath holding techniqueにおける呼吸停止位置精度を高められることを明らかにした(Yoshitake,Nakamura, et. al.Radiat Med 26,2008)。 しかし,このシステムは工業用に開発されたマシンビジョンシステムを用いるため,操作が煩雑であった。そこで,我々は,breath holding techniqueによる呼吸同期放射線治療専用のソフトウェアおよびシステムを開発した。システムは36万画素CCDカメラ,情報処理用PC,操作者モニタ,患者用モニタより成るマシンビジョンシステムである。ソフトウェアは,CCDカメラにて患者腹壁上のマーカーを認識,モニタ上にその動きを波形として表示する。患者用モニタ上に息止めのための目標領域が設定され,被験者はこの領域内で呼吸を停止するように指示される。また,呼吸停止の時間は,息止め時間の目安としてヘッドマウントディスプレイ等のモニタに表示される。また,本システムの位置認識精度は,ほぼ±0.5mm以内であった。 現在,本システムを実際の体幹部定位放射線治療をおこなう患者の息止め照射に利用し,その精度,有用性を検証中である。
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