2006 Fiscal Year Annual Research Report
RNA干渉法を用いた担がんヌードマウス腫瘍増殖抑制の研究
Project/Area Number |
18591389
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
大西 健 奈良県立医科大学, 医学部, 助教授 (50152195)
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Keywords | 担がんマウス / 増感剤 / RNA干渉 / siRNA / 腫瘍増殖抑制 |
Research Abstract |
目的 より効率のよい放射線癌治療を行うためには、放射線で誘導されるアポトーシスを積極的に増強させるか、放射線照射後も細胞を生存に導く細胞内反応系を阻害することが有効と考えられる。DNA修復系に関与するNBS1遺伝子やアポトーシス抑制にかかわる.XIAP遺伝子の発現をsmall interference RNA(siRNA)によって特異的に阻害することにより、癌細胞を死に導き放射線感受性が高められることを明らかにし、本年度論文として発表した(Radiat.Res., 2006;J.Cell.Biochem., 2006)。さらに、XIAP-siRNAによる放射線増感とXIAP伝子の発現阻害によるアポトーシス増強との相関性について調べた。また、ヌードマウス担癌系でsiRNAによる腫瘍増殖抑制効果を調べるため、腫瘍部位に導入するsiRNA発現プラスミドの作製を試みるとともにヒト非小細胞肺癌細胞のヌードマウスへの移植法についても検討した。 方法 p53欠損ヒト非小細胞肺癌H1299細胞に正常型あるいは変異型p53遺伝子を導入した細胞(H1299/wtp53、H1299/mp53)を用いた。XIAP的siRNA(21mer二本鎖RNA)を設計、合成してX線照射処理の2日前にliposomeで細胞内に導入した。ウエスタンブロッド法と免疫蛍光染色法でXIAP, caspase-3あるいはPARP蛋白質の量的変化と細胞内局在を検討した。ヘキスト染色法でアポトーシスの出現頻度を調べた。さらに、NBSI的siRNA発現DNAカセットをsiRNA発現DNAカセット挿入用プラスミド()に組込み、PCR法でDNAカセットが挿入されたかどうか調べた。H1299/wtp53あるいはH1299/mp53細胞をヌードマウス背部皮下に移植した後、背部に形成された腫瘍を5mm四方にミンスし大腿皮下に移植した。 結果 1.XIAP標的siRNA導入により放射線誘導caspase-3活性化とPARP断片化が増強された。 2.XIAP標的siRNA導入により放射線誘導アポトーシスが増強された。 3.NBS1標的siRNA発現プラスミドが作製できた。 4.ヌードマウス背部およびに大腿皮下でH1299/wtp53あるいはH1299/mp53腫瘍が形成された。 考察 XIAP-siRNAによる放射線増感はXIAP遺伝子の発現阻害によるアポトーシス増強に起因していることが示唆された。また、p53遺伝子のみ異なるヒト非小細胞肺癌H1299細胞を用いてsiRNA発現プラスミドによる腫瘍増殖抑制効果について調べることが可能であることが分かった。
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