2006 Fiscal Year Annual Research Report
温熱増感効果を期待した進行固形癌・再発癌に対する三次元原体照射の臨床研究
Project/Area Number |
18591394
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
田中 良明 日本大学, 医学部, 教授 (20023806)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 勉 日本大学, 医学部, 講師 (80139120)
藤井 元彰 日本大学, 医学部, 助手 (70267079)
齋藤 友也 日本大学, 医学部, 助手 (10339319)
前林 俊也 日本大学, 医学部, 助手 (20409006)
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Keywords | 癌 / 臨床研究 / 放射線治療 / 温熱療法 / 原体照射 |
Research Abstract |
局所進行ならびに再発消化器癌に対して、温熱療法に放射線治療と化学療法を組み合わせた集学的治療を行い、その臨床的効果を検討した。対象は、上腹部が5例(肝内胆管癌、肝外胆管癌(2)、十二指腸癌術後再発、膵癌)、下腹部が1例(S状結腸癌術後再発)で、年齢は49〜70歳(平均62.2歳)、男女比は5:1、4例に化学療法(GEM(2)、TS-1/TXT、FOLFOX4〜TS-1)を併用した。放射線治療はライナック10MVX線で、病巣(GTV)に可能な限り一致させた照射野を設定し、原則として原体照射で5例には2Gy/回、計50〜60Gy、S状結腸癌術後再発例には既照射歴を考慮して2.5Gy/回、計37.5Gy照射した。温熱療法はRF波誘電加温装置(Thermotron-RF8)で5例は週1回で計6〜7回、十二指腸癌症例は週2回で計19回施行した。加温中の温度制御はサーモシミュレーションシステムで行い、RF波出力は800〜1200Wで患者本人の耐えられる範囲内で40分間前後加温した。 治療終了後3か月の時点での局所効果は、CT、MRI等の画像診断による腫瘍縮小効果では、縮小(PR)4例、不変(NC)2例であったが、疼痛や異常分泌物などの自覚症状でみた評価では全例有効の効果が得られた。副作用としては、局所の熱感、疼痛が約半数に見られたが、加温中の患者体位の工夫(腹臥位や側臥位など)や、オーバーレイボーラスの調整を行う等により、治療中断を余儀なくされるような症例はなかった。 有効例を提示すると、(1)58歳男性、十二指腸癌(T2N1)で膵頭十二指腸切除後の胆管空腸吻合部再発症例に対して、温熱療法19回、放射線治療50Gy/25回、化学療法(TS-1/TXT)を実施したところ、上腹部痛が軽減し、画像診断で腫瘍縮小効果(PR)、血液生化学所見で肝機能異常の改善がみられた。(2)70歳男性、S状結腸癌術後4年6ヵ月後の骨盤内再発例に対して温熱療法6回、放射線治療37.5Gy/15回、化学療法(FOLFOX4〜TS-1)を施行したところ、腫瘍縮小効果(good PR)が得られ、治療前に見られた局所の疼痛や異常分泌の排泄がほぼ消褪し、患者のQOL(生活の質)が著しく改善した。 温熱療法の併用効果として以下の点が明らかとなった。1)放射線療法および化学療法の増感効果が期待できる。2)局所進行、術後再発、放射線治療後の再発症例にも適用可能である。3)組織学的相違による差がみられない。4)線量限度のようなものがみられない。5)QOLの向上が期待できる。欠点として、病変の部位、大きさによっては加温困難な症例があること、温熱療法に人手と時間がかかりすぎることがあげられる。
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