2006 Fiscal Year Annual Research Report
マイルド全身加温療法は放射線療法、化学療法の効果を増強し、副作用を軽減する
Project/Area Number |
18591395
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
伊藤 要子 愛知医科大学, 医学部, 助教授 (60065597)
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Keywords | マイルド加温療法 / HSP70 / 癌治療 / 化学療法 / 併用療法 / 進行性尿路上皮癌 / 白血病 / 副作用 |
Research Abstract |
我々は、熱ストレス(身体を温める)で誘導されるHeat Shock Protein(HSP70)の生体防御作用を検討し報告してきた。本研究では、予めマイルド全身加温することにより誘導されるHSP70によるストレス耐性、損傷回復促進作用を、化学療法に対する患者への副作用の軽減、抗腫瘍効果の増強に利用することを目的とした。 1)マイルド全身加温による全身の癌である白血病に対する基礎実験として、ヒト白血病細胞NALM, TSB細胞に対する化学療法へのマイルド加温の併用による抗腫瘍効果を検討した。 その結果、NALM,TBS細胞ともに41℃までの加温では、全く変化無いが、43℃以上の加温で傷害され、生存率が低下した。また、抗癌剤の塩酸トキソルビシン、硫酸ビンクリスチンを4種の濃度で作用させ、さらに、抗癌剤を作用させて41℃で1〜5時間加温し、MTT法で生存率を測定した。その結果、殺腫瘍効果の無い41℃と抗癌剤を同時に併用すると抗癌剤の抗腫瘍効果は数倍増強され、効果のない1/10濃度の抗癌剤も抗腫瘍効果を示した。よって、ヒト白血病細胞ではマイルド加温の併用により、抗癌剤の抗腫瘍効果が増強されることが明らかとなった。 2)進行性尿路上皮癌に対するM-VAC化学療法を実施する患者で、マイルド加温療法併用の強い要望が有り、本学倫理委員会の承認を得て2クール目からマイルド加温を併用した。さらに、平成18年度内にM-VAC化学療法とマイルド加温併用が4症例得られたので、本研究計画ではヒト膀胱癌による基礎実験を先行させる予定であったが、臨床研究に変更した。ママイルド加温は化学療法2日前、化学療法当日、その後2〜3回/週で実施した。イルド全身加温は、遠赤外線加温装置で約30分加温し(舌下温が1-2℃上昇)、その後約20分保温した。 その結果、従来のM-VAC化学療法のみの8例ではPRが1例、NCが1例、PDが5例に対し、マイルド加温併用ではPRが3例、NCが2例で最低でも20%縮小でPDは認めず良好な抗腫瘍効果を認め、消化器系副作用および骨髄抑制も軽減された。 【結論】化学療法にマイルド加温療法を併用することにより、基礎・臨床の両研究で有意な抗腫瘍効果が認められた。マイルド加温療法は副作用がほとんど無く、安全で、容易にどこでも実施可能であることから、臨床的にも化学療法との併用が大いに期待される。
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Research Products
(6 results)