2006 Fiscal Year Annual Research Report
線維芽細胞増殖因子・生体吸収性ポリマー複合体の局所投与による大動脈瘤治療
Project/Area Number |
18591402
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 成 東北大学, 大学院医学系研究科, 講師 (20250764)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 光伸 東北大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (30282073)
渡辺 徹雄 東北大学, 病院・助手 (50291266)
後藤 均 東北大学, 病院・助手 (00400333)
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Keywords | 大動脈瘤 / 線維芽細胞増殖因子 / 生体吸収ポリマー / 弾性線維 / 平滑筋 / ラット |
Research Abstract |
エラスターゼ注入ラット動脈瘤モデルに対して,bFGF含有ゼラチンスポンジシート(Gelatin sponge sheet : GSS)を用いて,大動脈瘤の進展に対する影響を検討した。 bFGF至適量を検討するため,bFGF量1,10,100μgと,非治療群,GSS単独治療群で治療効果を検討した(実験1)。ラットAAAモデル作成後にGSSを腹部大動脈の前面におき,7日後の効果を検討した。GSS単独治療群,bFGF1μg群,10μg群では非治療群と比較して大動脈径拡大が有意に抑制されていた。一方,bFGF量が10,100μgと増加するにつれて大動脈の破裂が増加した。組織学的には,bFGF含有群で中膜平滑筋細胞が有意に多かった。大動脈瘤進展の抑制には低用量bFGFが最も適しており,逆に高用量bFGFは大動脈壁破壊を助長している可能性が示唆された。また,ヒト大動脈瘤の組織では見られない壊死性変化を広範に認めたため,より緩徐に進展する大動脈瘤モデルを作成した。長期の治療効果を検討するため,効果判定を14日後に行った。この条件にてbFGFの含有量の再設定を行い(実験2),bFGFの含有量を100ngに設定した。非治療群,GSS治療群,bFGF100ng含有GSS(bFGF+GSS)治療群の3群において14日間の治療を行った(実験3)。14日目の大動脈径はGSS治療群ならびにbFGF+GSS治療群において,非治療群と比較して大動脈径の拡大が有意に抑制されていた。組織学的にはbFGF+GSS治療群において最も弾性線維,中膜平滑筋細胞数が保たれていた。GSS単独治療群においても,組織像の改善を認めた。 GSS単独でもラットAAA進展の抑制効果を示すことが明らかとなった。
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