2006 Fiscal Year Annual Research Report
bFGF徐放・口腔粘膜細胞・吸収性足場およびステントからなる人工食道に関する研究
Project/Area Number |
18591403
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
本山 悟 秋田大学, 医学部, 講師 (60292372)
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Keywords | 人工食道 / 口腔粘膜 / bFGF / ゼラチン |
Research Abstract |
本研究ではTissue Engineeringの三本柱である(1)細胞には増殖速度が速く、性質も食道上皮に近い、そして免疫が問題にならない自己の口腔粘膜細胞を用いた。(2)材料にはポリグリコール酸、ポリ乳酸を基本原料とする生体吸収性基質(細胞増殖の足場)、さらに狭窄防止のための吸収性ステントを用いた。(3)細胞増殖因子には細胞生着に必要な局所の血流維持が持続的に行われるよう、basic fibroblast growthing factor(bFGF)が約2週間かけて徐放性に放出されるゼラチンシートを使用しbFGFが持続的に放出されるよう工夫した。 (1)人工食道作成:ケタラール静脈麻酔下にビーグル成大の口腔粘膜を採取、顕微鏡下に口腔粒膜上皮層を剥離した。皮下組織を取り除いて上皮のみをとりだし、これを細かく短冊状に切断した。表皮側を上にしてDispase I含有、DMEM液に16時間4℃で浸漬した。翌日口腔粘膜上皮を表皮と真皮に剥離し、表皮をさらに細かく裁断し、0.125%トリプシンで30分処理、Cell strainerで濾過漬、口腔粘膜上皮を単離した。この細胞を上皮シート形成培地で培養し約1週間で十分量の上皮細胞を培養、それを6cm長、直径2cmの円柱状の吸収性基質(足場)に培養、約1週間で細胞が生着させ人工食道を作成した。 (1)人工食道移植準備:移植前日、10x10cm大のゼラチンシート2枚に蒸留水で0.25mg/mLに溶解したbFGFを散布し、4℃で16時間を浸漬させた。 (3)頸部食道移植:ビーグル成犬をネンブタール静脈麻酔下に気管挿管し、人工呼吸器管理下に手術を行った。まず術後の中心静脈栄養のため、背部から皮下を経由し、犬の大腿静脈より中心静脈カテーテルを挿入する。次に左頸部を皮膚切開し、頸部食道を剥離、5cm切除し、ここに人工食道を移植した。移植直前に培養器から取り出し、内腔をbFGF含有シートで被覆し、さらにその内側に吸収性食道ステントを留置した。続いて消化管吻合を端端吻合で吸収糸で行った。最後に移植食道の外側をbFGF含有シートで被覆し閉創した。
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