2006 Fiscal Year Annual Research Report
類洞微小循環改善によるグラフト肝のviability向上に関する研究
Project/Area Number |
18591404
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
宮澤 秀彰 秋田大学, 医学部, 助手 (10323148)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 聡 秋田大学, 医学部, 講師 (40333934)
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Keywords | 類洞微小循環 / 類洞狭小化 / 心停止後ドナー / 持続灌流 / 肝移植 |
Research Abstract |
本研究の最終目的は、心停止後摘出肝の温阻血時間を類洞狭小化防止と微小循環の面からアプローチし60分程度まで延長させようというものである。本年は灌流前にウロキナーゼを注入し、保存液の浸透圧および粘桐性に着目し検討した。 【実験方法】Wister ratを心停止させ60分後全肝を摘出。ウロキナーゼを注入し10分後、4℃の保存液で灌流し8時間単純浸濃保存した。その後37℃の酸素化KH液を60分灌流し、門脈圧、胆汁産生量、ASTを測定した。まず灌流前にウロキナーゼを注入する群としない群で効果を検討した。保存液としてHTK液(H群:n=9)およびUW液(U群:n=8)を用いた。正常肝の灌流を対照群とした。8時間浸漬保存後にTUNEL染色でアポトーシスの種皮を検索した。 【検討結果】ウロキナーゼ注入で肝のViabilityは改善した。灌流門脈圧はH群、U群ともに対照群に比し有意に高かった。組織学的にはU群の肝細胞は円形に変化、萎縮し類洞径が拡大し灌流後の細胞間接着の破綻が著明であったが、H群では肝細胞萎縮は軽度で灌流後も肝小葉構築は保たれていた。胆汁産生は両群とも対照群(12.2±1.4μl/g 肝/hr)に比し少ないが、H群でU群より多かった(H群:1.4±0.5,U群:0.9士0.3μl/g 肝/hr,p<0.05)。AST値に有意差はなかった。TUNEL染色ではH群の方が陽性の肝細胞が多かった。 【結論と今後の予定】摘出前に組織障害の進んでいる心停止後摘出肝の保存では高浸透圧のUW液の組成は不利であり、また保存中のアポトーシスの抑制は必ずしも肝のviability改善につながらないことが示された。今後はウロキナーゼの代わりにt-PAを用い、PDTC投与により類洞を拡張、あるいはグラフト肝摘出後追加の保存液を注入し捜械的に類洞を拡張させ、持続灌流保存を組み合わせて検討する予定である。
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