2008 Fiscal Year Annual Research Report
移植時低酸素状態にある門脈内膵島に対する新しい酸素供給法による生着改善効果の検討
Project/Area Number |
18591411
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
酒井 哲也 Kobe University, 医学研究科, 助教 (80372647)
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Keywords | 移植外科学 / 膵島移植 |
Research Abstract |
膵島移植は膵島を分離する際、さらには門脈内に移植する際に膵島が著しく障害され、1人の患者様を完治させるのに結果として複数回の移植を必要としている。ドナー不足の現状を鑑みるとこの点は膵臓移植に大きく遅れを取る点として膵島移植普及の大きな障害となっている。移植直後の障害の1つは門脈内に移植された膵島の低酸素状態であり、これを改善することが生着時のlossを最小限にする。そこで高濃度酸素溶解能を持つPerfluorochemica1(PFC)を腹腔内に投与することにより門脈内酸素濃度を上昇させ、その結果、移植膵島に十分な酸素を供給しうると考え、最終的にはこれにより移植膵島の生着率を向上させうるかを検証することが本研究の目的である。 平成18年度はラットの同系門脈内膵島移植において、基礎実験を終了した後、移植直後に酸素化したPFCを腹腔内に投与し、6時間毎、48時間までこれを交換することで、移植成績および移植後28日目の糖負荷試験による糖代謝の改善を明らかにした。平成19年度は酸素化したPFCを腹腔内に投与することで実際に門脈内酸素濃度が上昇していることを証明し、さらには、その後、犠牲死させて摘出した肝臓を全割し、病理組織学的に移植された膵島を定量的に評価することで、門脈内への生着が有意に改善していることを直接証明した。 平成20年度は平成19年度に引き続き、移植直後の膵島のTUNEL染色等によるアポトーシスの評価を行ったが、positive dataは出なかった。よってそれまでのdataをまとめて、現在論文作成中である。
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