2006 Fiscal Year Annual Research Report
結合組織常在性線維芽細胞の血管内皮細胞への分化誘導機構の解明:再生医療をめざして
Project/Area Number |
18591416
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
藤原 隆 愛媛大学, 総合科学研究支援センター, 助教授 (30036496)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樅木 勝巳 愛媛大学, 総合科学研究支援センター, 講師 (70304615)
昆 和典 愛媛県立医療技術大学, 保健科学部, 教授 (40093926)
能勢 眞人 愛媛大学, 大学院医学系研究科, 教授 (70030913)
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Keywords | 血管新生 / 血管内皮細胞 / 線維芽細胞 / 角膜 / 再生医療 |
Research Abstract |
【背景及び目的】血管再生医療は虚血に陥った組織等を再生する治療法として注目されている。これに必要な血管内皮細胞は末梢血中の血管内皮前駆細胞を利用する試みが行われている。しかし、末梢血中の血管内皮前駆細胞は非常に少なく治療に必要な細胞を得るのは容易でない。我々は、結合組織に常在する線維芽細胞を血管再生医療に利用することを目的として、線維芽細胞が血管内皮細胞に分化するか否かについて検討を行った。 【方法】二種類の実験を行った。1)血管内皮細胞特異的蛋白質、Flk-1の遺伝子のプロモーターにlac-Z遺伝子を結合したTgマウスの角膜固有質の細胞、すなわち線維芽細胞を培養・増殖し、これを予め角膜に腫瘍細胞を移植し血管新生を惹起した野生型マウスの尾静脈に注入、移植した。移植の3日後、角膜の新生血管をX-Gal染色し、パラフィン切片にした。顕微鏡で内皮細胞におけるlac-Zの発現を観察すると共に、デジタルCCDカメラで撮影した。2)血管内皮細胞特異的蛋白質、Tie-2の遺伝子のプロモーターにGFP遺伝子を結合したTgマウスの角膜固有質の組織片を摘出し、これを野生型マウスの角膜に移植し、硝酸銀焼灼により血管新生を惹起した。この数日後、角膜を摘出し、ニコン正立型蛍光顕微鏡により観察し、デジタルCCDカメラで撮影した。これらの実験で用いた角膜は血管を含まず、固有質は線維芽細胞のみから成る組織であるので、角膜固有質の培養細胞の移植や組織片の移植では血管内皮細胞や血管内皮前駆細胞の混入の恐れの全く無い純粋な線維芽細胞の移植ができた。 【結果】角膜固有質の培養細胞の移植及び組織片の移植の何れの実験においても新生血管にX-Gal陽性反応を示す内皮細胞やGFP陽性の内皮細胞が観察された。 【考察】この研究により線維芽細胞が血管内皮細胞に分化することが示された。このことから、結合組織常在性の線維芽細胞は、血管再生医療のための内皮細胞の入手元になり得ることが示唆された。
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Research Products
(1 results)