2006 Fiscal Year Annual Research Report
ドミノ肝移植レシピエントの、ドナー原疾患発症に影響する因子の解明
Project/Area Number |
18591419
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
猪股 裕紀洋 熊本大学, 大学院医学薬学研究部, 教授 (50193628)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿曽沼 克弘 熊本大学, 大学院医学薬学研究部, 助教授 (40202626)
安東 由喜雄 熊本大学, 大学院医学薬学研究部, 教授 (20253742)
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Keywords | 家族性アミロイドポリニューロパシー / ドミノ肝移植 / 免疫抑制 / トランスサイレチン / タクロリムス / サイクロスポリン / トランスジェニックラット |
Research Abstract |
1.動物(ラット)におけるTTRの産生と長期免疫抑制剤投与の関係 DAラットを用いて、臨床肝移植で用いられる免疫抑制剤を投与し、その血中濃度と、トランスサイレチン(TTR)産生への影響(血中TTR濃度、肝組織中mTTR)を検討して、動物での免疫抑制剤のTTR産生への影響を検討した。その結果、4週間の投与期間で、タクロリムスではTTR産生を約8%低下させ、一方この間TTRmRNAの発現は増強していた。その詳細な機構はなお検討の余地があるが、TTR産生にも関与しまたタクロリムスのリガンドでもあるFK結合蛋白に、投与されたタクロリムスが阻害作用を生じ、TTRmRNA発現が増強するにもかかわらずTTRの産生が低下する機構が考察される。一方、同じカルシニューリン阻害剤であるサイクロスポリン長期投与ではこのようなTTR産生への影響はみられなかった。FAP患者では、移植後もそれまでに沈着した異型TTRを核に、移植後も続く正常TTRの沈着が継続し、これが神経症状をさらに悪化させる要因にもなるうるため、ドミノ移植患者のみならず、FAP移植患者全体での免疫抑制剤選択に影響を与える知見と考えている。 2.ドミノ移植動物実験 ヒトATTR産生トランスジェニックラットから正常ラットへの全肝移植を行い、ドミノ移植のモデル作成を試みているが、30例施行するも、2頭の長期生存が得られたに過ぎず、現在のその原因の検索と、長期症例の評価を継続中である。 3.臨床ドミノ肝移植例の評価、追跡 自施設での8例を検討して臨床生体ドミノ移植手術の困難さと有効性を確認し、これを移植専門誌に投稿中である。自他施設でドミノ移植を受けた症例10例の経過を継続して追跡中で、このうちドミノ移植後6年で、自覚症状は無いが末梢神経伝導速度低下によるFAP発症と判断された1症例を経験した。なおこの臨床評価は継続する。
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