2007 Fiscal Year Annual Research Report
ドミノ肝移植レシピエントの、ドナー原疾患発症に影響する因子の解明
Project/Area Number |
18591419
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
猪股 裕紀洋 Kumamoto University, その他の研究科, 教授 (50193628)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿曽沼 克弘 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 准教授 (40202626)
安東 由喜雄 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (20253742)
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Keywords | 家族性アミロイドポリニューロパシー / ドミノ肝移植 / 免疫抑制 / トランスジェニックラット / トランスサイレチン |
Research Abstract |
ドミノ移植実験では、異型トランスサイレチン(ATTR)遺伝子を導入したトランスジェニックラット(FAPラット)より正常のLEWラットへの、ドミノ肝移植モデルを作成し1週間から3ヵ月の生存を認めた。術前ドナーラットの血清ATTRの値は9.3〜11.6mg/dlであったが、移植後レシピエントラットでは3.7mg/dl以下で、ドナーラットに比し低値を示した。TTR以外のタンパクのTP、Albには、著明な低下はみられず、単に栄養状態のみによる低下とは考えにくいため、今後、その原因を追及し、臨床ドミノ患者でのTTR代謝の検索のためさらに解明する必要がある。 1994年より2006年に肝移植を行い当院でフォローアップ中のFAP患者は34人で移植後5年生存率は100%であり、2人の患者が移植後10年目以降に死亡した。移植後に、すべての患者において神経症状の悪化を認めず、心筋の壁肥厚のわずかな進行4人、ペースメーカーまたは埋め込み型除細動器を必要とした患者が合計5人であった。4人の患者で眼症状の進行がみられた。しかし92%の患者が終日就労可能であり肝移植は、FAP患者の治療法として非常に有用であることが確認できた。 自施設の臨床ドミノ肝移植8例中、2例は原疾患再発で死亡したが他の6例は、術後2-5年の現在まで神経学的検査で異常を認めず、胃、十二指腸粘膜生検においてもアミロイド沈着は認めていない。7人の血清にてSELDI-TOF-MSを用いた解析を行ったところ、全例においてATTRとwild type TTRの両方のピークを認め、ATTRのピークの方がwild type TTRに比べてやや低かった。今後この臨床例をさらに追跡して、経時的なATTR代謝の変動を検索していく予定である。
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Research Products
(4 results)