2007 Fiscal Year Annual Research Report
Cancer stem cellを標的とした次世代乳癌治療法の開発
Project/Area Number |
18591439
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
久保 真 Kyushu University, 大学病院, 助教 (60403961)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 雅之 九州大学, 大学病院, 助教 (90380394)
赤司 浩一 九州大学, 大学病院, 教授 (80380385)
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Keywords | cancer stem cell / 乳癌 / 薬剤耐性 / 形態形成シグナル / side population / CD44+24- / low cell / エストロゲン・レセプター |
Research Abstract |
癌細胞は自己複製能と分化能を合わせ持つ幹細胞様の細胞(cancer stem cell=CSC)から発生するという考えが近年-層注目されている。実際の癌組織は、増殖性の分化型癌細胞(抗癌剤感受性)と未分化のCSC(抗癌剤抵抗性)との両者で構成されていると考えられているが、効果的で持続的な治療を行うにはCSCに対する治療法を開発し確立する必要がある。したがって、本研究の主目的はCSCを同定すること、さらにその上でCSCに対する治療法を開発することである。(1)乳癌細胞株においてHoechst 33342色素染色によりcell sorterを用いて分離したCSC(Side population=SP)と、表面マーカーによりcell sorterを用いて分離したCSCであるCD44+24-/low細胞との間には強い相関関係があることを見いだした。CD44+24-/low細胞比は通常16%程度であるが、SP分画では46%と著明に増加する。(2)Real-time PCRやImmuno-blottingを用いて、CSCにおける形態形成シグナル(Wnt、Notch、Hedgehogなど)は高発現していることを見いだしたが、さらに乳癌における代表的シグナルであるエストロゲン・レセプターとのクロストークが存在することを確認した(Koga K、et al.2008)。(3)当科で開発したHedgehogシグナル系のレセプターPatched1に対する抗体により、効果的にSP分画の細胞やCD44+24-/low細胞の増殖を抑制することを見いだした。(4)当九州大学病院における手術摘出乳癌の標本より、Hoechst染色、免疫染色を用いて乳癌組織中のCSCの存在を明らかにした。以上より、従来の抗癌剤抵抗性と考えられる乳癌CSCにおいて、形態形成シグナルは重要な役割を果たしており、有力な治療標的となることを明らかにした。
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