2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18591448
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
紅林 淳一 川崎医科大学, 医学部, 助教授 (10248255)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 克浩 川崎医科大学, 医学部, 講師 (90289174)
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Keywords | 乳癌 / ホルモン療法 / 抵抗性 / 抗エストロゲン剤 / HER1 / HER2 / fulvestrant / lapatinib |
Research Abstract |
乳癌はホルモン依存性癌の一つであり、ホルモン療法の有効性が確認されている。しかし、ホルモン療法が最初から無効な症例や治療初期にはホルモン療法に反応するものの経過とともに抵抗性となる症例があり、臨床の場において大きな問題となっている。ホルモン療法抵抗性獲得のメカニズムに関しては、数多くの仮説は存在するものの決定的な原因はみつかっていない。また、抵抗性克服を目指した基礎研究は少ない。研究代表者らは、「低酸素微小環境などのストレスが腫瘍細胞における血管新生因子発現や増殖因子シグナル伝達を亢進させ、乳癌のホルモン依存性を消失させる」との作業仮説を立て、実験的な検証を行ってきた。 本年度は、エストロゲン非依存性クローンを樹立するためホルモン感受性乳癌細胞株KPL-1,KPL-3Cを抗エストロゲン剤(fulvestrant)添加した培地で長期間(12ヵ月余り)培養した。これまでに、KPL-3C細胞株において形態の変化や増殖能の亢進が見られるが、KPH-1細胞株では見られない。Estrogen receptor (ER)、human epidermal growth factor receptor (HER) familyの発現や活性の変化を検討中である。また、HER1/HER2チロシン燐酸化阻害剤lapatinibを用いホルモン療法の効果増強作用に関する基礎的な研究も行った。ER高発現HER1/HER低発現KPL-1,KPL-3C細胞において、lapatinib単独の抗腫瘍効果は弱いが、fulvestrantを併用することで、相加的な抗腫瘍効果(p21/p27の発現増加と細胞周期遅延、survivin/Bcl-2の発現低下とアポトーシス誘導)が示された。一方、lapatinibはER陰性HERS過剰発現KPL-4細胞株に対して、単独で強い抗腫瘍活性を示し、fulvestrantとの併用効果は認められなかった。
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