2008 Fiscal Year Annual Research Report
単塩基多型による食道癌発癌高リスク群の同定とテーラーメード医療への応用
Project/Area Number |
18591451
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
森 隆弘 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (00323030)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永瀬 浩喜 日本大学, 総合科学研究, 教授 (90322073)
今井 高志 独立行政法人放射線医学総合研究所, 重粒子医科学センター, 研究リーダー (50183009)
山田 章吾 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60158194)
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Keywords | 食道癌 / 発癌感受性 / 単塩基多型 / 多因子発癌 / 予後 |
Research Abstract |
我々は癌感受性遺伝子の同定のため遺伝因子を除く環境因子を一定にした扁平上皮癌のマウスモデルを通して感受性遺伝子の同定を試みてきた。この過程で感受性を左右するであろう14の遺伝子座の同定に成功し、このうち、AURKA遺伝子の一塩基多型が欧米で報告されている頻度と極めて異なる頻度で食道がん体細胞に存在し、頻度が高く認められたアレルが危険因子として働いている可能性が考えられ既に報告した(木村, 森, 永瀬ほか ; Cancer Res. 2005 65(9) : 3548-54)。左記論文発表に続き、平成18年度〜20年度の科学研究費補助金によって施行された研究では癌患者群と非患者群でアレル頻度の比較をより多くのcase(食道癌患者、600名以上)とcontrol(健常人ボランティア、500名以上)において検討するとともに、特定の遺伝多型を持っ患者群での食道癌の形態学的、病理学的および病因解析(発症年齢、喫煙歴、飲酒歴、家族歴,多発癌)による検索を行った。この結果、特定の遺伝子多型[AURKA遺伝子169塩基(以下、AURKA169)のA/A、あるいは91塩基(以下、AURKA91)のT/T多型とAURKA169のA/A多型の組み合わせ]が食道がん患者において統計学的に有意に多いことが認められた。更に悪性度の検討をカプランマイヤー法およびCox比例ハザードによる多変量解析にて行った。特にCoxの比例ハザードモデルによる多変量解析では、AURKA169のA/A多型がハザード比2.756(95%CI, 1.209〜6.280 ; p=0.016)を持って、食道癌死についての独立した危険因子である事が示されている。更に生活習慣など病因との検討を行った。その結果、下表の如く、飲酒歴との検討で統計学的有意差が認められた。すなわち、AURKA169のA/A多型の食道癌患者は統計学的有意差を持って飲酒歴が少なかった(p=0.031)。また、組織型との関係を検討してみると表4のように、AURKA91のA/TまたはA/A多型と扁平上皮癌、逆に言えばAURKA91T/T多型と腺癌など非扁平上皮癌の相関を認めた(p=0.002)。
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Research Products
(2 results)