2006 Fiscal Year Annual Research Report
核酸・葉酸代謝関連酵素の包括的遺伝子解析による消化器癌の個別化医療開発
Project/Area Number |
18591458
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
川上 和之 金沢大学, がん研究所, 助教授 (00293358)
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Keywords | 大腸癌 / 遺伝子多型 / 化学療法 / LOH / 核酸代謝酵素 |
Research Abstract |
本年度は核酸・葉酸代謝酵素であるチミジル酸合成酵素(以下TS)の遺伝子型とTS遺伝子座におけるアレル欠失(loss of heterozygosity、以下LOH)を大腸癌症例を対象に解析し、その予後因子・抗癌剤感受性因子としての臨床的意義を検討した。大腸癌246例の癌組織および近傍正常粘膜組織を対象としてTS遺伝子の5'非翻訳領域に存在するvariable number of tandem repeat (VNTR),G/C single nucleotide polymorphism (SNP),およびTS遺伝子座のLOHを総合的に解析した。226例においてVNTR, SNP, LOHのすべての情報を得た。日本人において2R alleleは低頻度であり、2R allele内のSNP解析は意義が低いと考えられた。そこで、2R内のSNPは考慮せず2R,3G,3Cのalleleに分類し、TS遺伝子型解析の臨床的意義を検討した。LOHを含めた遺伝子型の頻度は2R/2R,3;2R/3G,11;2R/3C,20;3G/3G,13;3G/3C,34;3C/3C,14;2R/loss,26;3G/loss,58;3C/loss,47であった。TS遺伝子型と臨床病理学的諸因子間に有意な関連を認めなかった。TS LOHは右側結腸癌、粘膜癌で低頻度であった。TS LOHを認める症例は有意に予後不良であり、18番染色体長腕のLOHと相関する変化であった。TS LOHを認めた症例では、3C/lossの予後が不良であったが、術後補助化学療法を受けた症例ではその予後は他の遺伝子型(2R/loss、3G/loss)と同等であった。これらの結果より、TS遺伝子型判定にはLOH解析が不可欠であり遺伝子型の予後因子・感受性予測因子としての臨床的意義はLOHの有無別に検討する必要があると考えられた。
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Research Products
(4 results)