食道癌の化学放射線療法関連遺伝子の解析と微小転移巣への効果

2007 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 18591470
• Research Institution: Kagoshima University
• Principal Investigator: 大脇 哲洋 Kagoshima University, 大学院・医歯学総合研究科, 特任教授 (50322318)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 夏越 祥次 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (70237577) ; 愛甲 孝 鹿児島大学, 理事 (60117471) ; 松本 正隆 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (40398293)
• Keywords: 食道癌 / 転移 / COX-2 / CXCR4 / CXCL12 / E-cadherin / Snail / p53R2

Research Abstract

アラキドン酸からのプロスタグランジン生合成律速酵素であるCyclooxygenaseのアイソザイムCOX-2は、炎症関連細胞で発現し、炎症性サイトカイン等により誘導される。これが食道癌原発巣においても発現している。申請者らは食道癌の深達度および病期においてCOX-2過剰発現例ほど有意に進行しており、生存率でも過剰発現例では、有意に予後不良であった。多変量解析ではCOX-2の過剰発現は食道癌の独立予後因子であることを証明した。また、Snailは細胞接着因子であるE-cadherin(E-cad)を直接抑制し、上皮組織侵入を促進する転写制御因子である。食道癌症例においてE-cadの低発現と深達度、リンパ節転移陽性、リンパ管侵襲陽性と相関がみられ、Snailの発現陽性と深達度、リンパ節転移陽性、病期の進行度に相関が確認された。この二つの因子間に相関はなかったが、E-cad陽性例でのSnail陽性の生存率は有意に低下していた。また、多種癌腫での遠隔転移形成における、細胞遊走、増殖と脈管形成に関係するCXCL12とその受容体CXCR4の発現を粘膜下層浸潤食道癌症例で調べた。微小血管密度(MVD)と、CXCL12およびCXCR4との関連はなかったが、CXCL12はリンパ節転移(サイトケラチン染色による微小転移も含む)と有意な相関があった。更にMVD、CXCL12はリンパ節転移を伴う食道癌原発巣で有意に多く確認され、CXCL12・CXCR4両方発現している症例に、微小転移を含むリンパ節転移が多いことを証明した。さらに、食道癌の放射線感受性因子の一つであるp53R2遺伝子において、食道癌細胞株TE-8を用い、p53R2 siRNAの遺伝子導入により放射線感受性が増強することを実験的に証明した。今後の食道癌に対する放射線化学療法治療の予後改善に寄与する可能性を見出した。

Research Products

• [Journal Article] Expression of CXCL12 and its Receptor CXCR4 Correlates With Lymph Node Metastasis in Submucosal Esophageal Cancer. (2008)
  • Author(s): Sasaki K, Natsugoe S, Ishigami S, Matsumoto M, Okumura H, Setoyama T, Uchikado Y, Kita Y, Tamotsu K, Sakurai T, Owaki T, Aikou T.
  • Journal Title: Journal of Surgical Oncology 97 Pages: 433-438
  • Peer Reviewed
• [Journal Article] Cyclooxygenase-2 expression is related to prognosis in patients with esophageal squamous cell carcinoma. (2007)
  • Author(s): H. Takatori, S. Natsugoe, H. Okumura, M. Matsumoto, Y. Uchikado, T. Setoyama, K. Sasaki, K. Tamotsu, T. Owaki, S. Ishigami, T. Aikou
  • Journal Title: European Journal of Surgical Oncology 34 Pages: 397-402
  • Peer Reviewed
• [Journal Article] Improvement in radiosensitivity using small interfering RNA targeting p53R2 inesophageal squamous cell carcinoma. (2007)
  • Author(s): Yokomakura N, Natsugoe S, Okumura H, Ikeda R, Uchikado Y, Mataki Y, Takatori H, Matsumoto M, Owaki T, Ishigami S, Aikou T.
  • Journal Title: Oncology Reports 18 Pages: 561-7
  • Peer Reviewed
• [Journal Article] Snail plays a key role in E-cadherin-preserved esophageal squamous cell carcinoma. (2007)
  • Author(s): Natsugoe S, Uchikado Y, Okumura H, Matsumoto M, Setoyama T, Tamotsu K, Kita Y, Sakamoto A, Owaki T, Ishigami S, Aikou T.
  • Journal Title: Oncology Report 17 Pages: 517-523
  • Peer Reviewed
• [Journal Article] ステント留置と化学放射線療法が有用であった食道肺瘻を有する胸部食道癌の1例 (2007)
  • Author(s): 花園幸一, 夏越祥祥次, 奥村浩, 松本正隆, 大脇哲洋, 瀬戸山徹郎, 平木嘉幸, 有村健, 中村文彦, 中條政敬, 愛甲 孝.
  • Journal Title: 癌と化学療法 34 Pages: 1275-1278
  • Peer Reviewed
• [Journal Article] 【消化器癌の化学(放射線)療法はここまできた 日本の現状は?】 食道癌の術前化学放射線療法はここまできた (2007)
  • Author(s): 夏越祥次, 松本正隆, 奥村浩, 瀬戸山徹郎, 内門泰斗, 花園幸一, 大脇哲洋, 石神純也, 愛甲孝
  • Journal Title: 成人病と生活習慣病 37 Pages: 643-647
  • Peer Reviewed
• [Journal Article] 【消化器癌の外科病理】 食道浸潤を伴う胃上部胃癌の病理像からみた外科治療 (2007)
  • Author(s): 松本正隆, 夏越祥次, 石神純也, 奥村浩, 上之園芳一, 宮薗太志, 大脇哲洋, 帆北修一, 愛甲孝
  • Journal Title: 消化器外科 30 Pages: 561-567
  • Peer Reviewed
• [Presentation] 食道癌周術期管理におけるインスリンの使用法 (2007)
  • Author(s): 大脇哲洋, 夏越祥次, 松本正隆, 花薗幸一, 瀬戸山徹郎, 奥村浩, 桜井俊秀, 愛甲孝
  • Organizer: 日本癌治療学会総会
  • Place of Presentation: 東京
  • Year and Date: 2007-10-24
• [Presentation] 食道扁平上皮癌におけるStromal Cell-derived factor-1(SDF-1/CXCL12)発現の意義 (2007)
  • Author(s): 佐々木健, 夏越祥次, 石神純也, 松本正隆, 奥村浩, 花園幸一, 瀬戸山徹郎, 大脇哲洋, 愛甲孝
  • Organizer: 日本消化器外科学会定期学術総会
  • Place of Presentation: 東京
  • Year and Date: 2007-07-19
• [Presentation] 悪性腫瘍の血管新生・リンパ管新生を標的とした治療戦略 (2007)
  • Author(s): 松本正隆, 夏越祥次, 瀬戸山徹郎, 花園幸一, 奥村浩, 大脇哲洋, 愛甲孝
  • Organizer: 日本消化器外科学会定期学術総会
  • Place of Presentation: 東京
  • Year and Date: 2007-07-19
• [Presentation] NSTによる消化器癌患者術前スクリーニングにおけるrapid turnover proteinの有用性. (2007)
  • Author(s): 大脇哲洋, 夏越祥次, 松本正隆, 瀬戸山徹郎, 花薗幸一, 奥村 浩, 愛甲 孝.
  • Organizer: 日本消化器外科学会定期学術総会
  • Place of Presentation: 東京
  • Year and Date: 2007-07-18
• [Presentation] 高齢者食道癌に対する治療方針(切除vsCRT)の検討 (2007)
  • Author(s): 花園幸一, 夏越祥次, 松本正隆, 奥村浩, 瀬戸山徹郎, 喜多芳昭, 内門泰斗, 佐々木健, 大脇哲洋, 愛甲孝
  • Organizer: 日本消化器外科学会定期学術総会
  • Place of Presentation: 東京
  • Year and Date: 2007-07-18
• [Presentation] 通過障害を有する進行食道癌患者の術前栄養管理. (2007)
  • Author(s): 大脇哲洋, 夏越祥次, 松本正隆, 花園幸一, 瀬戸山徹郎, 奥村浩, 愛甲孝.
  • Organizer: 日本外科学会定期学術総会
  • Place of Presentation: 大阪
  • Year and Date: 2007-04-13
• [Presentation] 食道癌術後におけるシベレスタットの有用性 (2007)
  • Author(s): 櫻井俊秀, 大脇哲洋, 夏越祥次, 奥村浩, 松本正隆, 花園幸一, 瀬戸山徹郎, 愛甲孝
  • Organizer: 日本外科学会定期学術総会
  • Place of Presentation: 大阪
  • Year and Date: 2007-04-13
• [Presentation] 血中isolated tumor cellの検出は食道癌の腫瘍マーカーとして有用か? (2007)
  • Author(s): 瀬戸山徹郎, 夏越祥次, 奥村浩, 松本正隆, 花園幸一, 内門泰斗, 喜多芳昭, 保清和, 石神純也, 大脇哲洋, 愛甲孝
  • Organizer: 日本外科学会定期学術総会
  • Place of Presentation: 大阪
  • Year and Date: 2007-04-12
• [Presentation] 術前補助療法は進行食道癌のリンパ節微小転移の制御に有効か? (2007)
  • Author(s): 夏越祥次, 内門泰斗, 松本正隆, 奥村浩, 瀬戸山徹郎, 花園幸一, 大脇哲洋, 上之園芳一, 石神純也, 愛甲孝
  • Organizer: 日本外科学会定期学術総会
  • Place of Presentation: 大阪
  • Year and Date: 2007-04-12
• [Presentation] 食道癌の化学放射線療法後の組織学的効果とG2/M期関連因子の発現 (2007)
  • Author(s): 保清和, 夏越祥次, 奥村浩, 瀬戸山徹郎, 花園幸一, 坂元昭彦, 内門泰斗, 松本正隆, 大脇哲洋, 石神純也, 愛甲孝
  • Organizer: 日本外科学会定期学術総会
  • Place of Presentation: 大阪
  • Year and Date: 2007-04-11
• [Presentation] 進行食道癌における気管支ステントの有用性の検討 (2007)
  • Author(s): 花園幸一, 夏越祥次, 柳正和, 奥村浩, 松本正隆, 横枕直哉, 内門泰斗, 瀬戸山徹郎, 喜多芳昭, 保清和, 大脇哲洋, 愛甲孝
  • Organizer: 日本外科学会定期学術総会
  • Place of Presentation: 大阪
  • Year and Date: 2007-04-11