2007 Fiscal Year Annual Research Report
進行直腸癌における細胞接着分子を標的とした転移・浸潤機構の解明と制御
Project/Area Number |
18591473
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
佐藤 幹則 Nagoya City University, 大学院・医学研究科, 講師 (20305551)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹山 廣光 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (00216946)
高橋 広城 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教 (30381792)
安田 顕 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教 (90453068)
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Keywords | 細胞接着分子 / 転移・浸潤 / 大腸癌 / 転写因子 |
Research Abstract |
大腸癌細胞株においてc-kitの発現を比較し、c-kit発現が増殖能、浸潤能に与える影響およびc-kitチロシンキナーゼ受容体阻害剤であるメシル酸イマチニブの増殖、浸潤抑制効果について検討した。COLO320DM、DLD-1、HT29、WiDrの4種類の大腸癌細胞株においてc-kitの発現をRT-PCR、ウェスタンブロット、フローサイトメトリーにより調べた。大腸癌細胞株においてCOLO320DM、DLD-1にはc-kitの発現を認めたが、WiDr、HT29にはc-kitの発現を認めなかった。c-kit受容体のリガンドであるstem cell factor(SCF)によるc-kit受容体の活性化を調べるためウェスタンブロットを行った。c-kit陽性株ではSCF刺激によりc-kit受容体のリン酸化がおこり、SCFによってc-kit受容体が活性化されていることが確認された。SCFにて大腸癌細胞株を刺激しその増殖能の変化をWST-1 assayで検討したところ、c-kit陽性大腸癌細胞株ではSCF刺激により増殖能が有意に亢進したが、c-kit陰性株では増殖能に変化はなかった。浸潤能についてはマトリゲルを用いた実験により評価した。増殖実験と同様にc-kit陽性株ではSCF刺激により浸潤能は有意に亢進したが、c-kit陰性株では浸潤能に変化はなかった。SCFによるc-kit受容体のリン酸化はメシル酸イマチニブによって抑制されることがウェスタンブロットで示され、亢進した増殖能、浸潤能はメシル酸イマチニブ投与によって、SCF未刺激と同程度まで抑制されることも明らかになった。以上のような結果よりメシル酸イマチニブを用いたc-kit陽性大腸癌の治療の可能性が示唆された。c-kit受容体から下流のシグナル伝達経路として、p44/42MAPK、PI3K/Akt経路について確認したところ、受容体の活性化により両経路が活性化され、その中でもPI3K/Akt経路が強く関与していることが示された。
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