2006 Fiscal Year Annual Research Report
早期胃癌に対する究極の機能温存術式を目指してー胃周囲間膜全割による微小転移の検出
Project/Area Number |
18591483
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
長尾 玄 杏林大学, 医学部, 助手 (60407012)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 展次 杏林大学, 医学部, 助手 (40266747)
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Keywords | 胃癌 / 微少転移 / 間膜内癌細胞 / 全割 / 免疫染色 |
Research Abstract |
1.研究の目的 我々が独自に行っている内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)とsentinel node navigationによる腹腔鏡下lymph node dissection(LLD)併用療法には解決しなければならない大きな問題が存在する。リンパ節周囲の癌細胞の存在(perinodal involvement : PNI)である。PNIに関してはいくつかの報告があるが、存在範囲など、未だ不明な点が多い。今回は、胃間膜を全割するという新たな手法を用いてPNIを検索し新たな知見を得ること、また過去の胃癌手術症例のリンパ節ブロックの検索を行うことにより、PNIと生存率、再発との関連を明確にすることを目的とした。癌細胞の検索にはサイトケラチン免疫染色を施行した。 2.研究実績の概要 (1)胃癌手術にて得られた胃間膜の全割検索を23例に施行した。標本固定・処理、ブロック作成、免疫組織染色、鏡検(癌細胞の検索)を行った。3例にPNIと同様の癌細胞の存在を認めた。胃間膜の脂肪織内に癌細胞が存在するタイプの他に、リンパ管内に存在するタイプや、転移陽性リンパ節から周囲組織に連続して浸潤するタイプが観察された。またこれらの癌細胞はリンパ節近傍のみでなく、胃間膜の広い範囲に存在しており、我々はPNIを間膜内癌細胞と定義した。間膜内癌細胞をそのタイプからそれぞれscattered type, lymphatic involvement type, extracapsular invasion typeに分けた。間膜内癌細胞はリンパ節や胃癌原発巣の近傍のみに存在せず、手術の際に注意を払う必要があると考えられた。 (2)生存率や再発と間膜内癌細胞の関連を明らかにするために、過去の胃癌手術症例を検索する。リンパ節ブロックのサイトケラチン免疫染色を施行し、間膜内癌細胞を検出する。現在は、過去のブロックを抽出、薄切・免疫組織染色を行っている最中である。 3.今後の展開に関する計画 今後は全割症例の更なる蓄積,サイトケラチン免疫組織染色を用いた検索・検討の継続、および症例の予後調査を行っていく予定である。それらの結果によって間膜内癌細胞の病理学的,臨床的意義が明らかになると思われる。本研究は早期胃癌を含めた胃癌の治療に大きく貢献することが予想される。
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