2006 Fiscal Year Annual Research Report
上皮-間葉転換した消化器癌に対する免疫応答の解明とそれを標的とした臨床応用の検討
Project/Area Number |
18591484
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
桜井 敏晴 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20101933)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 千恵 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90424126)
塚本 信夫 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20407117)
長谷川 豪 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80383751)
河上 裕 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (50161287)
|
Keywords | 上皮-間葉転換 / 消化器癌 / Snail / 免疫応答 |
Research Abstract |
胎児の発生過程などで上皮細胞が間葉細胞へと変化して可動性を獲得する現象「上皮-間葉転換(Epithelial to Mesenchymal Transition, EMT)」が、最近、癌細胞の浸潤や転移にも深く関与することが報告されている。しかしEMTを起こした腫瘍細胞側の分子生物学的解析が主流であり、EMTに陥った腫瘍細胞に対する宿主免疫応答に着目した研究は立ち遅れている。そこで、本研究では、EMTで最も中心的な役割を果たし、その発現量が乳癌患者の予後不良とも相関することが示されている転写因子「snail」に焦点を当て、まず、恒常的にEMT様性状を呈する腫瘍細胞を得るため、ヒト膵癌細胞株Panc-1にヒトsnail遺伝子を導入し、一般的に報告されているsnail発現に伴う変化、すなわち、snailタンパク発現の増強やE-cadherinの低下、細胞の増殖能・接着能の低下、遊走能・浸潤能の増強を示すsnail遺伝子導入細胞株Panc1-F3を樹立した。次に、このsnail強制発現細胞株とsnail非発現親株の遺伝子発現をcDNA chipで網羅的に比較解析し、snail発現に伴って変化する因子、特に、免疫制御因子を中心に探索した。その結果、TGF-βの誘導因子ならびに活性化因子として知られる二つの分子の発現が増強されることが判明した。一方、腫瘍細胞と共にヒト末梢血細胞を培養すると、snail遺伝子導入細胞株と共培養した場合、親株との共培養時に比べ、FoxP3陽性細胞を顕著に誘導することが分かった。現在、これらFoxP3陽性細胞の免疫抑制活性について確認するとともに、cDNA chip解析で見出した2分子がこの現象に関与している可能性を明らかにするため、それぞれの分子に特異的な抗体等を用いて、引き続き免疫学的な解析を実施している。
|