2007 Fiscal Year Annual Research Report
胃切除における胃運動解析 -カハールの介在細胞の胃壁分布と胃電図解析による-
Project/Area Number |
18591487
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Research Institution | Meiji College of Oriental Medicine |
Principal Investigator |
糸井 啓純 Meiji College of Oriental Medicine, 医学教育研究センター, 教授 (80203123)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神山 順 明治鍼灸大学, 医学教育研究センター, 講師 (20257538)
窪田 健 明治鍼灸大学, 医学教育研究センター, 講師 (70388180)
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Keywords | 消化器外科学 / 細胞・組織化学 / 胃切除術 / カハールの介在細胞 / 胃電図 / c-Kit |
Research Abstract |
本研究においては,従来からの交感神経,副交感神経(迷走神経)からみた胃機能ではなく,その神経終末に位置していると考えられる胃平滑筋近傍にあるカハールの介在細胞(Interstitial cells of Cajal,以下 ICC)に着目して,胃機能を司るとされるペースメーカ機構を形態学的に同定するとともに,胃運動を胃電図による電気シグナルとして解析を試み,胃切除の切離線と胃機能の関係を客観的に見出そうとするものである。そこで,まずカハールの介在細胞の胃壁内分布を免疫組織学的手法によって形態学的に解析することを試みた.本研究機関附属病院で行った手術切除標本のパラフィンブロックで,非癌部,正常組織におけるカハールの介在細胞の同定について検討した。連続切片を用いて,HE染色,c-Kit染色,S-100染色を実施した。S-100染色は神経組織の同定として,ICC の同定にc-Kit陽性細胞の存在部位を検討した。 その結果,S-100染色は概ね固有筋層に存在し,胃蠕動運動に関与する副交感神経由来であることと矛盾しなかった。その部位とc-Kit陽性細胞の同定部位はおおよそ同じであったが,陽性細胞が粘膜下層にも比較的多く同定されていた。今回の検討では胃が全割切片ではなかったこと,進行癌で正常組織が同定困難などの問題点があったが,ICC が高度の集積しているいわゆる「ペースメーカ」の部位を病理組織学的に見出すにはいたらなかった。c・Kit 陽性細胞が粘膜下層にも比較的多く同定されたことから,本研究の効率的な解析には新たな ICC 同定マーカーの必要性が示唆された。仮に明らかなペースメーカが同定できないとしても,神経の胃運動機能が多くが集積する部位を同定して温存できれば,胃機能の温存の面から患者に福音となると考えられ,今後もこの方面の研究の継続が重要と考えている。
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Research Products
(2 results)