2006 Fiscal Year Annual Research Report
改変型細胞融解性ウイルスを搭載する間葉系幹細胞を用いた難治性消化器癌の治療
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18591493
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Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
田川 雅敏 千葉県がんセンター(研究所), 病理研究部, 部長 (20171572)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 英昭 千葉大学, 大学院医学研究院・先端応用外科, 講師 (20292691)
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Keywords | 遺伝子治療 / 間葉系幹細胞 / ウイルスデリバリー系 / 腫瘍プロモーター / ファイバー・ノブ領域 / アデノウイルス / CD46 / CAR |
Research Abstract |
現在遺伝子導入に利用されているアデノウイルスはタイプ5型であり、その細胞側の主な受容体はcoxsackie-adenovirus receptor (CAR)である。しかし、しばしば消化器癌では、このCAR分子の発現が低下しており、そのため同ウイルスによる遺伝子導入効率が低下している。一方タイプ35型ウイルスの主たる受容体はCD46分子であり、この分子は消化器癌において比較的高発現である。そこで、受容体結合部位であるウイルスのファイバー・ノブ領域をタイプ5型から35型に変換すれば、遺伝子導入効率が向上するはずである。そこで、タイプ35型の当該領域を有し、E1領域に外来性の遺伝子を挿入できるベクター系、ならびにウイルスの増殖に必須のEIAおよびE1B遺伝子の発現を、外来性の転写調節領域での制御を可能にするベクター系を構築した。実際にマーカー遺伝子を組み入れた改変型ウイルスを作製してみると、消化器癌においては、従来のタイプ5型ウイルスに比較してこのウイルスの遺伝子導入効率が優れていた。そこでこのベクター系を用いた細胞融解性ウイルスを搭載する間葉系幹細胞を使用して、抗腫瘍効果を検討するために、まずヒト間葉系幹細胞への遺伝子導入効率、ならびに当該細胞で作用するプロモーターの転写活性化能を検討した。その結果、タイプ5型ウイルスは全く間葉系幹細胞に感染しなかったが、タイプ35型改変型ウイルスの遺伝子導入効率は良好であった。また消化器癌で作用する腫瘍プロモーターのなかで、ミッドカインやサバインビンプロモーターの活性が間葉系幹細胞では低かったのに対し、cyclooxygenase-2プロモーターの活性は高く、当該プロモーターを用いた細胞融解性ウイルスを感染させた間葉系幹細胞は、ウイルスのデリバリーシステムとして有用であると考えられた。
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Research Products
(3 results)