2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18591495
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Research Institution | Shizuoka Cancer Center |
Principal Investigator |
川村 泰一 Shizuoka Cancer Center Research Institute, 研究所, 研究員 (20283145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 良夫 金沢大学, がん研究所, 準教授 (30211783)
大島 啓一 静岡県立静岡がんセンター(研究所), 研究所, 研究員 (10399587)
坂東 悦郎 静岡県立静岡がんセンター(研究所), 研究所, 研究員 (70399591)
望月 徹 静岡県立静岡がんセンター(研究所), 研究所, 研究員 (00117780)
伊藤 寛晃 静岡県立静岡がんセンター(研究所), 研究所, 研究員 (70443447)
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Keywords | 腹膜播種 / 腹膜中皮 / VEGF-C / 腹腔内遊離がん細胞 |
Research Abstract |
腹腔内遊離がん細胞の増殖生活性:腹腔内遊離がん細胞は原発巣の漿水を破り、腹腔内にこぼれた落ちた細胞である。実際に採取した遊離がん細胞を、増殖能の指標であるKi-67抗原に対する特異抗体(MIB-1)で染色すると50%を超える標識率を示した。したがって遊離がん細胞は高い増殖活性を持つと考えられ、良い環境におかれれば直ちに増殖を開始する能力があると推察できる。高度な腹膜転移能を持ったがん細胞(MKN45P)をヌードマウス腹腔内に10^7個から段階希釈法で投与すると、10^5個以下の腫瘍細胞を腹腔内投与しても腹膜播種は形成されなかった。 がん細胞の動向を位相差電子顕微鏡で観察した。腹膜中皮は癌細胞の腹膜下組織への着床を阻止していると考えられるが、がん細胞が腹腔内に供給され続けると、がん細胞から産生されるサイトカインにより中皮細胞が変形・収縮する。その結果中皮下基底膜が露出し、基底膜構成成分に親和性のある接着因子の発現している癌細胞は基底膜に接着するのが観察された。サイトカインとしてはhGF,EGF,IL6などが中皮の間隙を広げることが判明した。 また、がん細胞は基底膜直下にある腹膜下リンパ管基始部や基底膜に近接したリンパ管内に浸潤することが5'ーNas染色で判明した。横隔膜下面の中皮下には篩状板と呼ばれる他の腹膜には存在しない特殊な構造があり、がん細胞は容易に浸潤することはできないことがわかった。しかし、篩状板にところどころ開いている孔を介しがん細胞は直下にあるリンパ管内に浸潤する像がみとめられた。 横隔膜下面の転移は篩状板の孔の分布に依存していると考えられる。また5'ーNase-AlP2重染色で検討したところ、腹膜下リンパ管は血管より浅い部分にあり、動脈性毛細血管により栄養を受けていることがわかった。したがって、遊離がん細胞はリンパ管に入れば動脈性毛細血管から栄養を供給され増殖し、播種巣を形成するにいたる。大網に豊富に存在する乳斑にも腹腔に連絡するリンパ管があり、遊離がん細胞が侵入する。 腹膜下リンパ管は正常な状態でも横隔膜下面、大網、直腸膀胱窩、モリソン窩、などに豊富なネットワークを形成していた。さらに腹膜播種が起こると、VEGF-Cなどのリンパ管新生因子により既存のリンパ管からリンパ管が芽出したり、リンパ管のislandが形成され,リンパ管新生が起こることが観察れた。このように、腹腔内遊離がん細胞は腹膜下リンパ管に師かに侵入することから播種の初期像が形成されると思われる。 さらに、VEGF-Cに対する特異抗体をえることができ、この抗体の投与によりリンパ管内皮細胞や増殖や管腹腔形成が抑制された。
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[Book] Advances in Peritoneal Surface Oncology,2007
Author(s)
Yutaka Yonemura、Taiichi Kawamura, Etsurou Bandou, Yoshio Endou, Masahiro Miura 2007 S. Gonzalez-Moreno. Ed., Springer, Berlin,
Total Pages
11-23
Publisher
The natural history of free cancer cells in the peritoneal cavity.