2007 Fiscal Year Annual Research Report
プロテインチップを用いた膵癌特異的血清蛋白の同定と膵癌早期診断・治療への応用
Project/Area Number |
18591501
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
野澤 聡志 Chiba University, 医学部附属病院, 助教 (30345582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 勝 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (70166156)
清水 宏明 千葉大学, 大学院・医学研究院, 講師 (80272318)
吉富 秀幸 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (60375631)
竹内 男 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (20400822)
高野 重紹 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (20436380)
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Keywords | プロテオーム / 癌 / 蛋白質 / 発現抑制 / 膵臓癌 |
Research Abstract |
治癒切除術を施行された膵臓癌患者(20例)の術前術後の血清をSELDI-TOFMSおよびProteinChipSystemを用い同一個体内での血清蛋白発現量の相違を比較検討した。その結果,術前と比べ術後で有意に発現量の低下した特異的蛋白候補を4種類見出し,その内の1つの蛋白を精製,同定し,ApolipoproteinC-1(ApoC-1)蛋白であることを見出した。免疫組織学的染色にてApoC-1蛋白が正常膵管にはほとんど発現せず,膵臓癌組織の癌細胞内に特異的に発現していることを確認した。さらに,Westernblotにて4種類の膵癌細胞株(MIAPaCaII,PanC-1,CFPAC-1,AsPC‐1)および,その培養上清中にApoC-1蛋白の発現を認めた。加えて,外科切除を受けた69例の膵臓癌患者の検討により,術前血清中ApoC-1発現量の多さが膵癌患者の予後不良と有意に相関していることを見出した(p=0.023)。receiver-operator-characteristics(ROC)解析においてCA19-9をしのぐ予後予測能を持っことが示された。これらの結果より膵臓癌細胞で過剰産生されたApoC-1蛋白が血清中に逸脱することで血清値の上昇につながると考えられ,膵臓癌の早期診断、予後腫瘍マーカーとして非常に有効な蛋白であることを強く示唆する結果が得られた。ApoC-1特異的siRNAを細胞内にtransfectionしApoC-1を抑制すると有意に細胞増殖能が低下し,アポトーシスが増加することをすることが明らかになり,ApoC-1蛋白が膵癌においてアポトーシスを減少させることにより腫瘍増殖能を高めている可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)