2007 Fiscal Year Annual Research Report
肝切除時の異なる流入血血行遮断法が肝障害および肝再生に与える影響の検討(ラット)
Project/Area Number |
18591502
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今村 宏 The University of Tokyo, 医学部・附属病院, 講師 (00283268)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 潔 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (20292906)
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Keywords | 外科 / 細胞・組織 / 阻血再潅流傷害 / 間歇阻血 / プレコンディショニング |
Research Abstract |
【背景、目的】肝流入血の血行遮断下での肝切除を行うことは、切除中の出血量を減じる方法として広く使用されている。その際肝阻血による肝障害(肝虚血再潅流傷害)が問題になるが、間歇的血行遮断(IC)とischemic preconditioning(IP)は双方ともこの傷害に対して保護的に働くことが知られている。ICでは15分の阻血と、5分の再潅流を繰り返すことが一般的であるが、肝保護という観点から至適の阻血・再潅流のサイクルについては不明のままである。またICとPCのいずれが優れているかも議論の一致を見ない。本研究ではラットを用いてこれらを検討した。【方法】雄性Wistarラットを無作為に5群に分けた。60分の連続血行遮断群、15分/5分のIC4回繰り返し群、10分/3.3分のIC6回繰り返し群、5分/1.7分のIC12回繰り返し群およびIP群(10分のIPと10分の再潅流後60分の連続遮断)である。いずれの群も全阻血時間は60分に設定され、IP群では、阻血・再潅流の比は3:1に設定されている。阻血再潅流3時間後に胆汁流量を測定した後にラットを犠牲死させて、採血と組織を採取して、血清中のALTと組織標本の所見、GSHの肝含量を測定して肝障害の程度を推定した。【結果】各群9-12匹のラットを使用した。データは連続遮断群、IP(15*4分),IP(10*6分),IP(5*12分),I/P群の順に示した。血清中のALT値(IU/L)は4227±482,3202±400,2044±191,761±108,and 6981±691(p<0.001).であり、胆汁流量(μg/ml)は230±70,620±60,760±80,980±70,and 190±50(p<0.001).であった。肝組織中のGSH含量(初期値からの%)は、59.7±0.8,60.5±2.9,73.8±2.8,and 81.4±3.4(p<0.001).であった。HE標本での所見は、上記の値と同様にIP、PCいずれも連続遮断に比べて傷害は軽減されていたが、IPではサイクルの短い群で傷害が少なく、PCはIP(15*4分)と同程度であった。【結論】IP群PC群双方とも肝阻血肝障害の軽減につながるが、IP群の方が一様な保護効果が認められた。またIP群では阻血再潅流のサイクルが短い方に肝保護作用が強い傾向が認められた。
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