2008 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍内投与磁性体をRF誘導加温することで得られる抗腫瘍効果についての実験的研究
Project/Area Number |
18591507
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
片山 寛次 University of Fukui, 医学部, 准教授 (30204431)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 真 福井大学, 医学部附属病院, 助教 (00334821)
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Keywords | ハイパーサーミア / RF加温 / デキストランマグネタイト / 移植腫瘍 / 誘導加温 / Dextran Magnetite / 兎腫瘍 / VXII腫瘍 |
Research Abstract |
兎にVXII腫瘍を移植して担癌モデルを作成し、腫瘍内にDextran Magnetite(DM)を注入して誘導加温を行い、その加温特性と治療効果について検討した。DMには、Resovistを用いた。兎VXIIにDMを26G針で注入しその腫瘍内での消長をCTスキャンで経過を見た。また、腫瘍を経時的に摘出し鉄染色を行った。腫瘍内には2日目にはDMが細胞周囲に存在したが、5日後にはCT上集積は無いことが確認された。 DM注入後直ちにRF加温を行った。DMが存在する腫瘍内温度は5分以内に45度まで加温出来た。 加温後5日目のCTでは、腫瘍内にDMの残存が認められた。腫瘍を摘出し組織を鉄染色すると、DMは腫瘍内に取り込まれていることが判った。細胞内を詳細に検察すると,DMは細胞質内に取り込まれており,これは加温しない場合は起こらなかった。このことから,腫瘍内にDMを注入した直後に加温すれば、DMは腫瘍細胞内に留まり、再度の加温でも温熱効果が期待できるものと考えられた。 次に、これを実証するために、VXII腫瘍とその他各種人がん細胞セルライン、大腸癌株2種、胃がん株2種を培養し、DMを添加、加温した場合と加温しなかった場合で細胞質内に取り込まれるDMを観察した。その結果、44℃に培地を加温することでDMの細胞質内移行が促進されることが顕微鏡下で明らかになった。 次に、VXII腫瘍にDMを注入直後に加温を行い,5日後に再度加温を行った。腫瘍内温度と近傍の大腿筋の温度、肛門内体温を測定した。結果、第1の加温でCTスキャンで腫瘍内にDMが確認される腫瘍では容易に45度までの加温が可能であった。6匹の兎腫瘍のうち4匹で45度にて30分の加温が可能であった。4匹中2匹で腫瘍の縮小と増大速度の遷延を認めた。 以上の結果により、腫瘍にDMを注入してRF誘導加温を行うことで腫瘍細胞内にDMが取り込まれ、再度の誘導加温が可能である。これは人がん細胞においても効果が期待できると考えられた。
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