2007 Fiscal Year Annual Research Report
血小板活性化因子不活化酵素遺伝子多型・活性値と肝切除後経過との関連性の検討
Project/Area Number |
18591510
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
坂口 孝宣 Hamamatsu University School of Medicine, 医学部, 助教 (70313955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 利夫 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (40283353)
稲葉 圭介 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (10397383)
三輪 匡男 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (10046287)
菅谷 純子 静岡県立大学, 薬学部, 准教授 (30098131)
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Keywords | 外科 / ストレス / 生態学 / 臨床 |
Research Abstract |
研究目的:大量肝切除術後の肝不全,他臓器不全は未だに重篤な合併症である。血小板活性化因子(Platelet-activating factor:PAF)の過剰産生が一因とされる。PAF不活化酵素PAF acetylhydrolase(PAF-AH)は産生されたPAFを不活化するが、血漿PAF-AH活性値は遺伝子多型によって異なり,低値、無活性型は炎症性疾患の発生や治療に影響するとされる。本研究の目的は、PAF-AH遺伝子多型や肝切除周術期血中PAF-AH活性値と術後合併症との関連を調べることである。 研究方法:術前、術後に採取した末梢血2mlを用いて, (1)Allele-specific PCR(AS-PCR)法によりPAF-AH遺伝子多型を解析, (2)血漿中PAF-AH活性値を測定, (3)Vital signの変動,一般的な血液検査,周術期合併症を記録, 上記を総合的に検討した。 研究結果:平成17年3月から平成19年7月までに,肝切除,開腹下腫瘍焼灼術を施行した37名の患者を対象とした。患者の疾患は,肝細胞癌24例,転移性肝癌9例,胆道癌4例であった。 (1)PAF-AH遺伝子多型は高値型27例,低値型10例で,無活性型はなかった。転移性肝癌などの正常肝群と慢性肝疾患を背景とする肝障害群の間で,低値型の割合に差はなかった。 (2)周術期のPAF-AH活性値は,低値型では変動が少ない。高値型では術前と較べ、第1病日に10〜30%PAF-AH活性値が低下したが,第7病日には術前値に復した。術後に高値型のPAF-AH活性値が低値型を下回ることはなかった。高値型と低値型の間で血液データの周術期変動に差はないが,第1,4〜6病日の日中最高体温は低値型で有意に高かった。 (3)低値型の2例で重篤な合併症があり,1例は再手術を要した。しかし統計学的には,高値型、低値型の間での合併症発生頻度に差は認められなかった。
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