2007 Fiscal Year Annual Research Report
重症急性膵炎におけるToll様受容体を介した免疫機構の解明と感染制御
Project/Area Number |
18591515
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
新関 亮 Kobe University, 医学部附属病院, 医員 (60444593)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 嘉和 神戸大学, 医学系研究科, 教授 (70178143)
|
Keywords | 重症急性膵炎 / Toll様受容体(TLR) / HMGB1 / 炎症 / 免疫 / 臓器障害 / 感染 |
Research Abstract |
1. 重症急性膵炎におけるToll様受容体(TLR)の発現動態、TLRを介した生体反応、TLRの役割の解析 1)マウス重症急性膵炎モデルの肝、腎、小腸において、TLR4蛋白の発現が一旦増強し、その後減弱していることを示した。TLR4欠損マウスにおいて重症急性膵炎を作製すると野生型マウスに比して臓器障害が軽減し、感染が増悪することを見出し、TLR4が感染に対して防御的に作用することを明らかにした。 2)ラット重症急性膵炎モデルにおいて肺胞マクロファージにおけるTLR2とTLR4の発現が減弱し、TLR2とTLR4を介したサイトカイン産生能が低下していることを明らかにした。 3)ラット重症急性膵炎モデルの腸管上皮においてTLR2とTLR4は絨毛の先端およびクリプト(主にパーネート細胞)に局在し、TLR2とTLR4の発現および活性化NFκBが一旦増強し、その後減弱していることを明らかにした。 2. ラット重症急性膵炎モデルにおけるHMGB1の発現動態とその意義の解析 ラット重症急性膵炎モデルにおいて血中HMGB1濃度が膵炎の発症・進展とともに上昇し、主要臓器(膵、肝、腎、肺、小腸)においてもHMGB1蛋白の発現が増強し、臓器障害と密接に関連していることを明らかにした。 3. 重症急性膵炎患者における新規免疫反応関連因子と病態との関連性の解析 1)血清IL-15レベルが有意に上昇し、臓器障害の併発、感染の併発、生命予後と有意に相関しており、重症急性膵炎において合併症併発や生命予後の予測に有用な因子であることを見出した。 2)血清IAP(免疫抑制性蛋白)濃度が健常者に比して有意に高値を示すが、重症急性膵炎の中では重症度が高く膵壊死が存在するほど低く、全身の炎症反応や免疫応答性と関連していることを示した。
|