2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規免疫不全マウスを用いたヒト由来癌細胞肝転移モデルにおける動態解析と代謝物解析
Project/Area Number |
18591524
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
島津 元秀 慶應義塾大学, 医学部, 客員教授 (70124948)
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Keywords | 肝転移 / 代謝 / 癌 / 抗がん剤 |
Research Abstract |
肝転移における分子メカニズムを解明することは、転移をコントロールする上で重要であると考えられる。従来の免疫不全マウスを用いた実験では転移性が低く、再現性に問題があり、実質臓器における転移巣を観察するには実用的ではなかった。これらのことから、ヒトの転移を反映した再現性の良いモデル動物の開発が必要であると考えられた。そこで今回、新規免疫不全マウスであるNOGマウスを用いてヒト腫瘍門脈血行性転移モデルを確立した。このモデルを利用し、ヒト腫瘍肝転移微小循環の動態解析、代謝物解析を目的とした。ヒト由来癌細胞にGFPの変異体であるvenusを恒常的に発現させた。これをNOGマウス(9〜11週齢)の脾臓に注入し経門脈経由にて肝臓へと転移を発現させ、共焦点の高感度生体ビデオカメラを使用し実質臓器における転移初期の細胞動態を探った。この方法でほぼ100%の確立で肝転移を作成することに成功し、肝転移モデルを確立した。また転移肝における肝細胞が通常の肝臓と比較して低酸素状態になっていると仮説をたて、パナジウムポルフィリンを利用し肝臓内微小血管の酸素濃度を計測し、上記仮説を確かめた。また転移巣周囲での低酸素環境が肝代謝に影響を与えていることを確かめるために、担癌状態の肝臓から肝細胞と腫瘍細胞の分離方法を確立し、網羅的代謝物解析を行うことにより、癌細胞と転移巣周囲の肝細胞の相互作用を調べた。またdishで培養した癌細胞と担癌状態の肝臓から分離してきた癌細胞の代謝物を比べることによって、in vivoでの癌細胞が、培養している状態とは異なり、どのように代謝物を変容しているのかということも調べられる。これらは抗がん剤を使用するに当たっての主作用副作用を予測する上で非常に重要であると考えている.
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