2006 Fiscal Year Annual Research Report
肝疾患における脂質メディエータ、サイトカインおよびHGBM-1の意義
Project/Area Number |
18591525
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
石井 雄二 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (40212831)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小幡 徹 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教授 (80119776)
柴 浩明 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (40366240)
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Keywords | 内因性カンナビノイド / 2-AG / HMGB-1 / サイトカイン / 慢性肝疾患 / F2-Isoprostane |
Research Abstract |
本研究の最大の目的は、各肝疾患で脂質メディエータ、サイトカイン、High mobility group box-1(HMGB-1)を三本柱とした関連(ネットワーク)を検討し、新しい肝疾患の治療戦略の構築である。以下、結果を示す。慢性肝疾患(慢性肝炎;CH、肝硬変;LC、肝細胞癌;HCC)および健常ボランティアでの脂質メディエータである血清内因性カンナビノイド(CB)(AEA : anandamideと2-AG:2-arachydonoylglycerol)濃度を測定した。HCCは健常ボランティア、CH、LCに比較し血清2-AGは有意に高値を示し、HCCの進行度でもStage IVは他のStageより有意に血清2-AGが高値を示した。また発癌前の2-AG高値群で、短期に発癌を認めた。またHCC再発関連の検討では、日常よく使用するAFPおよびPIVKA-IIより2-AGが有用である症例があり、HCCの新しいマーカーになり得る可能性が示唆された。一方、血清AEAは、HCCで健常ボランティアより有意に高値を示したが、HCCの各臨床的因子により、高い傾向を示したが、有意ではなかった。これら内因性CBは、特異的な受容体(カンナビノイド受容体;CB1&CB2R)を介して作用する。HCCの切除標本の免疫組織学的なCBRの検討では、CB1Rは低分化で、CB2は高分化での強い発現を認めた。現在、肝細胞癌株を用いてCB1&CB2Rのagonistおよびantagonistを添加したin vitroでの検討を行っている。また、他の脂質メディエータであるF2-Isoprostane(アラキドン酸における非酵素的反応により生成)および敗血症の晩期のメディエータであるHMGB-およびサイトカインについても解析中である。これらの解析を参考にしてin vivo実験も行う予定である。
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