2006 Fiscal Year Annual Research Report
Lumicanの細胞増殖因子制御による膵臓癌増殖抑制効果の検討
Project/Area Number |
18591526
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
石渡 俊行 日本医科大学, 医学部, 助教授 (90203041)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 善哉 日本医科大学, 大学院医学研究科, 教授 (20237184)
工藤 光洋 日本医科大学, 医学部, 助手 (20256978)
|
Keywords | Lumican / 膵臓癌 / 細胞増殖因子 |
Research Abstract |
Lumicanは小型ロイシンリッチプロテオグリカンの一種で、角膜などの創傷治癒過程や各種の癌組織で豊富に発現している。乳癌組織においてlumicanは間質の線維芽細胞で産生され、癌周囲のlumican発現が乳癌の組織学的分化度、エストロゲン受容体の発現や発症年齢と関連していることが報告されている。進行大腸癌においては、lumicanの癌細胞における発現が、158例中99例(62.7%)にみられていた。大腸癌細胞におけるlumicanの発現はリンパ節転移の広がりや腫瘍の深達度と関連する傾向があり、lumican発現症例は予後が悪いことが明らかとなった。膵臓癌培養細胞系(PANC-1,MIAPaCa-2,KLM-1,Capan-1,PK-1,PK-8)においてはlumican mRNとlumicanタンパクの発現がみられた。組み換えlumicanタンパクをMIAPaCa-2に添加したところ、高濃度で増殖抑制効果が認められた。正常膵臓組織では免疫組織化学染色においてlumicanは膵島のα細胞に局在していた。膵臓癌組織ではlumicanは53例中30例(57%)の癌細胞に局在がみられ、53例中36例(68%)の間質組織に局在が認められた。膵臓癌細胞にlumicanが陽性の症例では陰性例に比べ予後が良い傾向がみられた。一方、間質組織のlumicanの局在と後腹膜浸潤、十二指腸浸潤には関連がみられ、間質にlumicanが局在している症例ではlumican陰性例に比べて予後が悪い傾向がみられた。これらの結果より膵臓癌組織においては、癌細胞内におけるlumicanと癌周囲の間質組織におけるlumicanは異なった役割を果たしていると考えられた。Lumicanの膵臓癌細胞の増殖動態に対する役割を、lumicanのsiRNAを用いて今後さらに検討する予定である。
|