2006 Fiscal Year Annual Research Report
肺癌予後・薬剤感受性予測のための多角的臨床・遺伝子セット(スクリーニング法)作製
Project/Area Number |
18591540
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
鈴木 実 千葉大学, 大学院医学研究院, 助手 (80312940)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤澤 武彦 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (80110328)
飯笹 俊彦 千葉県がんセンター, 呼吸器科, 主任医長 (10272303)
渋谷 潔 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (20302565)
関根 康雄 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (70312957)
伊豫田 明 千葉大学, 医学部附属病院, 助手 (10302548)
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Keywords | 肺癌 / マイクロアレイ / 異常メチル化 / 突然変異 |
Research Abstract |
本研究の目的は、微量サンプルから、非小細胞肺癌(NSCLC)予後予測・化学療法感受性予測を可能にする、スクリーニング法確立である。最初に、肺癌の性質を特徴づける分子生物学的変化について、異常メチル化、突然変異、網羅的遺伝子発現の観点から、以下3方面で検討した。 (1)IL-12Rβ2遺伝子の異常メチル化検討:本遺伝子はIL-12受容体の一つであり、特にIL-12Rβ2ノックアウトマウスは高率に肺腺癌を発症したとの報告がある。今回230例NSCLCで検討したところ42%で腫瘍特異的異常メチル化を認め、腺癌症例でIL-12Rβ2異常メチル化は予後不良因子であった。 (2)Wnt経路とEGFR経路の関連:(i)Wnt経路阻害遺伝子の異常メチル化、(ii)βcateninの核内移動、(iii)EGFR、KRAS遺伝子変異、以上3項目について比較検討した。238例NSCLCで、sFRP-1、sFRP-2、sFRP-5、wif-1、Dkk-3は13-52%に腫瘍特異的異常メチル化を認めた。KRAS変異はsFRP-1,2,5,Dkk-3、またはいずれかが異常メチル化を示す症例で有意に高頻度であった。免疫染色によるβcateninの核内強発現症例はEGFR変異症例で有意に高頻度であった。 (3)遺伝子変異と網羅的遺伝子発現の関連:EGFR、KRAS、p53遺伝子変異と、EGFR、p53、hMLH1、hMSH2の遺伝子発現を比較検討。EGFR、KRAS遺伝子変異はそれぞれの発現に有意な関連なく、hMLH1、hMSH2とも相関を認めなかった。p53遺伝子変異は、p53遺伝子発現と正の相関を示し、hMLH1発現と逆相関を示した。 NSCLCにおいて、さらに分子生物学的手法を用いて解析中である。本研究はNSCLCの発癌メカニズム解明、予後改善に寄与すると考えられる。
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